29話 ギレンの遺産 2.21
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* ズム・シテイ 政庁付近 2.21 10:30
マ・クベは無人と化した首都を一人闊歩していた。
一応はマーサ、マ・クベ、フロンタルの部下達によって倒れていた人を回収し、核融合炉へ運ばれていった。
「この首都の人民はどうしようないぐらいにギレンに陶酔し切っていた。今更鞍替えしろなど、しかも国体を持たぬものになど、従うはずもない」
マ・クベはマーサの判断を是とした。
自分自身もこのズム・シテイに眠る人達と同類であることも知っていた。
「(だから私はここにきたのだからな・・・)」
ギレンは絶対統治者だった。そのため肉親すら葬り去った。
感情というものは天才と呼ばれた頭脳持ってしても計り知れなく、そんな論理的でないものを鼻から相手にする気がなかった。
その代わり研究されていたものがあった。クローン技術である。付随してフラナガン機関もでき、数値で表せることのできる部下を作りあげることに躍起していた。
マ・クベは無粋と思った。人の心は操りきれないからこそ、またそれを操れた時こそ人は面白いのだと。
ギレンは確かに人心の支配、統制に成功していたものの一人だったが、当人が不服だった。
ニュータイプと呼ばれる感情の干渉物の実験は数値として表現できることにギレンは魅力に感じた。
マ・クベはいびつなオブジェのような造形の政庁に足を踏み入れた。
しばらく通路を進み、何もない壁のところで立ち止まった。
「(ここか・・・)」
マ・クベは壁を無造作に触り始めた。
すると感触に違和感を感じる部分があった。
マ・クベはポケットより銀のジオンのエンブレムを翳した。
すると壁にフッと通路が生まれた。
マ・クベはその通路に足を踏み入れていった。
通路の奥には階段があった。
どれだけ降りただろうと思ったとき、再び認証ドアがマ・クベの前に立ち憚った。
「(さて・・・キシリア様から頂いたキーコードが使えるか・・・)」
マ・クベはドアの傍にある認証コード入力端末にパスコードを入れた。
すると難なくその扉は開かれた。
マ・クベは足を踏み入れると、そこはゼウスとどうようにドーム型の大きな部屋があった。
違う所と言えば、研究施設のようなものだった。
周り見渡すと、機械と人が入るサイズの生体培養カプセルが多くあり、小さいものもあった。
マ・クベがゆっくりとした足並みでカプセルを見て回った。
検体の番号がそれぞれのカプセルの下に打たれており、生体カプセルで培養されている人型のほとんどが金髪の少年、そして少女だった。
マ・クベは中央のデスクの上に紙媒体の資料が無造作に投げられているのを見つけた。
それを手に取り読んだ。
「・・・ギレンの遺伝子と優秀な女性の卵子を掛け合わせているのか
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