第36話
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雄軍の殆どが新兵、今回の戦にあたり参加した志願兵達だ。
四日目にして三軍で攻勢に出た連合に対し、予備兵のように下げていた精鋭達を投入。
瞬く間に内部の敵を殲滅し、水関に作られた拠点を全て粉砕した。
そして諸侯は理解する。まんまと踊らされていたことを――
「失態ね」
華琳の辛辣な言葉と共に話は現在へと戻る。
彼女の言葉通り失態に継ぐ失態、大失態であった。
度重なる敗戦と華雄軍がみせた武の爆発、そして連合全体に流れた噂。
『黄巾賊、各地で再び決起せり』
見え透いた虚偽である、賈駆が機を見て流したものだ。
しかし黄巾の傷跡は大陸各地で濃く残っており、あながち有り得ない話ではないため性質が悪い。
殆どの諸侯が保身のため、今すぐ領地に戻りたい心境であった。
此処にいるのは単に他者の目を気にしているから、残留の訳は惰性に近い。
今や士気は最悪。初日に比べ見る影も無い。
「五日目は私が貰うわ、文句はないわよね?」
そんな中、華琳の言葉が天幕内に響く。
此処まで辛酸を舐めさせられているのにも関わらず、彼女の表情に憂いは感じられない。
それどころか、ようやく出番が回って来たと瞳をギラつかせ高揚していた。
「他に声が無いなら決まりだ。明日はか……曹操殿任せるとしよう。
他軍の援護はどのように?」
「必要ないわ。私の軍だけで十分よ」
『!?』
袁紹を除く者達の目が見開かれる。特に華雄軍と攻防を繰り広げてきた者達が驚いた。
無理も無い、三日目までなら兎も角。四日目の今日は三軍での攻撃が弾かれたのだ。
いくら曹操軍が精鋭揃いとはいえ、地の利に勝り、加減を止めた華雄軍に一軍で当たるのは――
それも明日の五日目は重要だ。士気が落ち、黄巾が気になる現状でまた抜けなければ。
各諸侯は不安から連合を離脱し始めるだろう。そして最初に離れた軍を機に、半数以上の戦力が失われる。
そこに張遼が華雄達と合流すれば勝機は……。
しかし心情はどうあれ、これに反対する意見などあるはずもなく。
明日は曹操軍に一任するという形でこの日は解散した。
「本当に、彼等は何しに来たのかしらね」
軍儀後、自陣の天幕に戻った華琳は酒を飲んでいた。
軍師である郭嘉に酌をさせ、諸侯に対する不満を口にする。
「史に愚将として名を残しに来たのかと思うほどよ、貴女はどう? 稟」
「華琳様、流石にそれは……」
「此処には煩わしい連中は居ないわ、本音を聞かせて頂戴」
郭嘉は言いよどみながらも主の杯に酒を注ぐ。本音を聞かせるよう諭されたが、彼女の意見は変わらない。
「高みを目指す我々から見れば確かにお粗末
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