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殺戮を欲する少年の悲痛を謳う。
最終12話 殺戮を欲する人格破綻者(サイコパシー)
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英雄という形になる。それと、God Program は殺さない」
「そうか。では私を殺し、大統領になれ!命令だ。君は世界を統率し、人類の進化に貢献しろ!」
 僕は二つ返事で了解した。それを聞いた6人は僕にブーイングを唱える。
「カリヒさん!暴君は許しませんよ!」
「見損ないました!」
「まさかとは思いますけど、裏切りとかやめてくださいよ?」
「カリヒ。君は正真正銘の馬鹿か?」
「いやいや!カリヒ。それはないでしょ?なんであんたが敵の大将になるの!?」
「情が移ったんですか!?」
 ミカエル、アーシャ、メリラ、サジ、ミレーナ、フランカ。彼らは口をそろえて反対する。
「落ち着いてくれ!SRAのモットーは何だ?」
 僕は手を叩いて音をだし、彼らを宥める。
「政治権の略奪だろ?僕が大統領になれば願ったり叶ったりだ」
 こんな時、リーナがいてくれたら6人をうまく纏めてくれるのだろう。
「もう。皆さん少しは落ち着いてカリヒさんの話を聞いてあげてください」
 リーナの声が僕の耳に届き、僕は後ろを振り返る。
「リ、リーナ?」
 彼女は車椅子に乗ってこちらにやってきた。車椅子を押していたのはサイボーグだった。
『やあ。カリヒ。彼女は君の恋人だろ?駄目じゃないか、車のトランクに放置するのは』
 僕はあの時、気が動転していたらしい。でもどうして助かったのだろう。僕は彼女の声を聞いた。死んでいるものだと思い込んでいただけなのか?
「カリヒさん?リーナさんは亡くなったと聞きましたが?」
 アーシャは涙でボロボロになりながら僕に聞く。
「僕も聞きたい。どうして心臓が止まったリーナが生きて話しているんだ?」
『一時的にショックで心臓が止まることがある。でも時間が経っていなかった為、すぐに蘇生術をしたよ。でも君は死んだと思った恋人に治療するほどクレイジーなんだね?』
 サイボーグはまるでケタケタと笑うように答えた。
「God Program どうして君が此処に居る?」
 シャルラッハートは地面に身を伏せながら言う。彼はGod Program なのか。
『実は。カリヒに謝りたいことがある。君が聞いていた“声”は私が君の記憶を辿って作り出したものだ。残念ながら彼女の霊体ではない』
 クロノスがしたせめてもの弔いがまさか彼女を蘇生させるなんてな。皮肉な話だ。彼女の死がクロノスを仲間に引き入れ、そのクロノスを犬死させた。でも、彼のおかげでシャルラッハートの戦闘兵のサイボーグが全滅したのだ。犬死…ではないかな?
 リーナがいただけでこの場は一気に静まった。彼女の存在は皆に良い影響を与えてくれる。


 6ヶ月後。僕は大統領となり、世界をまとめている。名前はカリヒではなく、シャルラッハートとして、顔出しはせずに、元大統領のふりをして。

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