世界の破壊者
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」
「その姿をしていいのは僕と士だけだ。覚え……いや、魂に刻みたまえ!」
いつになく敵意を剥き出しにした海東の言葉とともに、キリトの体術ソードスキル《エンブレイサー》が繰り出される。ダークディケイドが逃げる暇もなく、黄色に光り輝いたキリトの左腕はダークディケイドのベルトを捉えた。
『……――…―――…!?』
まるでバグでも起こしたかのように苦しみだすダークディケイドから離れ、キリトは取り落とした剣を拾いながら、ディエンドへと合流する。キリトの着地を狙おうとしていたアルビローチを銃撃で劇はしながら、ディエンドはキリトにダークディケイドの方を指差した。
「見ておきたまえ。あれがただの正体さ」
ベルトを破壊されたダークディケイドはその存在を保つことが出来ず、一回り大きいだけのアルビローチへと変貌する。……いや、盾と巨大な大剣を持ったカブトムシのような形状となり、他のアルビローチとは一線を画してはいたが。仮に《ボスアルビローチ》とも言うべきだろうが――先のダークディケイドとは違い、圧倒的なオーラを感じさせるほどではない。
「さて、そろそろ終わりにしようか。……痛みは一瞬だ」
「何? ちょ、何す――」
『FINAL FORM RIDE KKKKKIRITO!』
それでもダメージを負った今では充分に強敵だ、どうするか――と考えていたキリトに対し、ディエンドがその背中におもむろに発砲する。海東が言った通りに、痛みらしい不快感がキリトの身体中を駆け巡っていき、身体の芯が不愉快な感覚に警鐘を鳴らす。せめて何が起きてもいいようにと、キリトが胸ポケットからユイを逃すと、海東とユイはキリトに起こっていた変化に気づく。
「ん? 思ったのと違うな」
「パパ……そのアバターは……」
「え……?」
ユイにアバターと言われてキリトは身体を見てみると、ボロボロにやられていた筈の右腕が回復していた。海東の先の一撃は回復させるためのものだったのか、と思ったものの、回復とはまた違った感覚だった。
どこか懐かしさを感じさせるような――そして崩壊したログハウスの窓ガラスに映った自身の姿を見て、キリトはその感覚が間違っていなかったと知った。
全身を包む闇のようなコート《コート・オブ・ミッドナイト》を防具に、鍛冶屋の少女の想いが籠もった純白の片手剣《ダークリパルザー》に、数多くの戦場を共に駆け抜けた漆黒の剣《エリュシデータ》。そして今より少しだけ、幼さを感じさせる顔つき――それはもうこの世などこにも存在しない、デスゲーム《ソード・アート・オンライン》を終局まで導いた一人のプレイヤー――《黒の剣士》キリトの姿だった。
「また、頼むぜ……」
キリトは素早く状況を把握した後に、この浮遊城
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