世界の破壊者
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《Yui-MHCP001》を僕にくれ」
海東は続けて言葉を紡いでいく。《Yui-MHCP001》――ユイはその《滅びの現象》の標的となった『特異点』とも呼べる存在であり、海東がこの世界からユイを連れだせば、《滅びの現象》はこの世界に来る理由を失う。そうなれば歴史を直す連中が介入し、この世界はすぐにでも直るだろう、と。
「……まさか、この世界全てとソレを天秤にかける訳じゃないだろう?」
「パパ……」
「………………っ」
海東の言葉はそれで終わる。ユイというお宝を手に入れる海東の方便、ということも考えたが、ここで海東の言う言葉を拒否してもキリトに打つ手はない。それでもユイを、娘と世界を天秤にかける、そんな答えの出ない問題に奥歯を噛み締める。
「……パパ……ならわたしが……」
「ダメだ!」
ユイの言葉を途中で遮りながら、キリトはまた黙って考えた後――二刀を構えて、崩壊したログハウスから外に出て行こうとする。
「どうする気ですか!?」
「決まってる。あの連中を全員倒せばいいんだろ」
あのアルビローチたちが出過ぎたことで世界が崩壊したのならば、アルビローチたちを全て消せば世界は元に戻る。そう結論を出したキリトはユイの制止も効かず、ログハウスの玄関のドアノブに手をかける。
しかしドアノブを捻るより早く、その前に海東が立ちはだかった。
「邪魔だ」
「いいや、合格だ」
楽しげに笑う海東に、キリトはつい「……は?」と素の反応を返してしまう。クルクルとディエンドライバーを指で回しながら、海東はキリトに問いかける。
「合格だよキリト。もう一つの手段は……君が世界を破壊することだ」
「世界を、破壊……?」
海東は言う。この世界が破壊する特異点が《Yui-MHCP001》ならば、この世界を破壊させる特異点がまた別にいる、と。分かりにくい言い方だったが、キリトはその正当にたどり着いた。
「つまり……この《滅びの現象》の中に特異点がいて、そいつを倒せばいいってことか?」
「ああ。創造は破壊からしか生まれないからね。残念なことに……君にその覚悟はあるか」
ユイといういればこの世界が崩壊する特異点がいる――ならば、訪れた場所を破壊する特異点、すなわちあの昆虫たちのボスもいるということであり。もはやあの昆虫たちに支配されたこの世界は、一度破壊しなくては元に戻ることはない。それを承知かと海東はキリトに問う。
「やってやるさ。俺が世界の破壊者だ」
ログハウスの扉を開ける。海東が呼びだしたライオトルーパーたちはやられてしまったのか、視界に映るのは大地を埋め尽くさんほどのアルビローチのみ。そんな相手にも怯まずキリトは前に出ると、海東はそのすぐ横につ
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