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ソードアート・オンライン〜Another story〜
キャリバー編
第221話 凍える闘志
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 霜の巨人の王《スリュム》の頭上に現れたのは、この蒼い光を放つ王の間に、突如発生した《闇》である。だが、それを見てもスリュムの表情を変える事は無かった。

「ふん! 猪口才な。この程度の小細工で王を討てるとでも思っておるのか? 羽虫が、笑わせてくれるではないか」

 スリュムは、その闇を、青い光と風、輝く冷気を拳に纏い、迎え撃とうと構えた。



 ヨツンヘイムは、氷に覆われた世界。



 それは 地上とは違う。
 地上に降り注ぐ太陽の光の微かな恩恵を得られ、その光が白銀の世界に光の反射を生み 幾重にも交わりあの幻想的な世界を生み出している。だが、その夜は一段と暗黒に包まれる。月明かり程度では、あの世界に伝わらないからだ。

 だからこそ、スリュムは己の頭上高くに現れた《闇》を『笑止』と言い切ったのだ。



――……闇に住む王は、これから地上に侵略し 全てを手に入れる。何人たりとも、その行く末を阻める者などいない。――例え、神を討つ剣(レーヴァテイン)を持つ者であったとしても。



 そう、スリュムは豪語していたのだった。

 それを訊いたリュウキは、笑った。それは……、スリュムとは違う種類の笑みだった。

「……確かに、討てるとまでは思っちゃいないさ。――オレ、1人(・・)では、な」
「うんっ!!」
 
 スリュムの言葉に込められたそれらを感じ取ったリュウキは鋭く、目を細めた。そして、隣で歌うレイナ。皆を守る為に……、リュウキを守る為に、歌をうたい続ける。


 その歌姫(レイナ)の恩恵は皆を包み込む。


 その歌を聞きながら、リュウキは思う。

 1人だけで出来る事は多くはない。一緒だからこそ 何処までも強くなれる。――行けない場所などない。そう強く思えるのだ。
 そんな澄み切った歌声に包まれる中で、あのスリュムの表情はまさに不協和音でしかない。

「――……その笑みは不快だ。笑えなくはしてやる……!!」

 詠唱の全てを終えたその瞬間、闇から現れたのは、あの巨体 スリュムの頭より大きな岩。


――いや、隕石(メテオ)


 闇から生まれたそれ(・・)を見て、スリュムは拳を止めた。

「……なっ!!」

 闇から現れた隕石(それ)を見て、驚きを隠せられないのはスリュムだ。

 闇である為、闇系譜の魔法であろう事は予想してスリュムだったのだが、その正体はまるで違った。ただ、魔法属性が違うだけではないのだ。


 全種族を通じて、習得者が圧倒的に少なく、更に強力な魔法である為に、敵側の印象、そしてその魔法に対する認識が違う様だった。


「これは……!! 神代の魔法の……《根源元素》だとォ!! 羽虫の分際で、また
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