第二十三話 入学テストその一
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入学テスト
高校二年の生活はあっという間に過ぎていきました。それで気付けばもう入学テストです。私はテストの試験官として今学校に来ています。
「あ〜〜あ、何で当たったんだろ」
「ジャンケンに負けたから仕方ないけれど」
試験官になった子達は皆ぼやいています。入学テストの間は休みなのですが試験官になってしまったらその休みは消えます。だからぼやいています。
「寒いし面倒臭いし」
「嫌な話よね」
「まあそれはね」
私も少しそんな気はあります。正直に言いますと。
「折角休めるのにっては思うわね」
「そうよね。ちっちがふそく言うのは珍しいけれど」
「やっぱり嫌なのね」
「嫌っていうかね」
皆に対して答えました。
「寒いから。やっぱりふそくだけれど」
「ううん、この寒さってねえ」
「二年目だけれどどうも」
おぢばの寒さときたらそれこそ。夏はうだるように暑くて冬は凍えるように寒い。おぢばで困るのは気候です。盆地はこうしたところが本当に大変です。神戸生まれの神戸育ちの私には。
「慣れないのよね」
「慣れる筈ないしね」
「まあふそくはこれ位にしてね」
一人が言いました。やっぱりふそくを言っても何にもならないのは皆わかっているのです。ですから私もふそくを言うのは止めました。それで次の話題は。
「可愛い子いるかしら」
「女の子?」
「まさか」
女の子に関してはすぐに否定されました。当たり前ですけれど。
「男の子よ、男の子。可愛い子いるかしら」
「可愛い男の子ね」
「背が高くてすらりとしてて」
まずはスタイルからでした。
「顔もいけてて。性格もね」
「あんた望み高過ぎ」
「何よ、それ」
皆彼女に突っ込みを入れます。
「そんなにイケメン好きなら歌番組か特撮でも見ていなさいよ」
「寮だから見られるわけないでしょ」
「あと一年我慢しなさい」
「天理大学に進んだら詰所だから見られないわよ」
「携帯テレビ買いなさいよ」
「高いからねえ。あれ」
話が結構寮から離れています。確かに寮ですとテレビがないので格好いい人や可愛い人があまり見られないです。それがふそくって言えばふそくです。
「とにかく。今受けてる子達が入学してくるのよね」
「当たり前じゃない」
今更何を言っているのといった感じの言葉でした。
「全国から来てるわよ、私達と同じでね」
「といってもまず半分が奈良県だけれどね」
天理中学から通っている子もいれば高校からはじめて天理教に入る子もいますし。この学校に入学するのもお引き寄せなのでこの辺りは色々です。
「あとの半分の子が全国からだけれど」
「ただし」
まだあります。
「その半分のうちのかなりの部分が大阪なのよね」
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