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戦国異伝
第二百四十五話 夜においてその二

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「傀儡を出してもよいが」
「その傀儡を使う力を」
「明日に置いておきますか」
「今のところは」
「そうしますか」
「そうじゃ、明日の妖術にじゃ」
 使うそれにというのだ。
「全て注ぎ込むぞ」
「では今日はゆっくりと休みますか」
「飯を食いそうして」
「そのうえで」
「そうしようぞ、では飯じゃ」
 老人は飯も出させた、彼等は飯を食いそのうえで明日に備えて寝た。そしてそれは信長の方も同じだった。
 信長は全軍にだ、こう命じていた。
「では今晩もじゃ」
「はい、大飯をですな」
「たらふくですな」
「明日も戦じゃ」
 だからこそ、というのだ。
「たらふく食いじゃ」
「そして、ですな」
「今日もゆうるりと寝て」
「明日に備えまするか」
「明日で決着がつく」
 戦のそれがというのだ。
「だからこそな」
「わかりました」
「では今日もです」
「兵達には大飯を食わせます」
「そう致します」
「そうせよ、そしてじゃ」
 さらに言う信長だった。
「明日は日の出と共に起きてな」
「そのうえで」
「仕掛けますか」
「街はもう焼け落ちておる」
 朝には、というのだ。
「福原の街はな」
「兵を進めやすい」
「そうなっていますな」
「うむ」
 まさにというのだ。
「そこを進む」
「水軍もですな」
「今は休んでいますが」
「明日の朝になれば」
「その時は」
「そうじゃ、水軍も進める」
 九鬼達が率いている彼等もというのだ。
「そして陸でも海でもな」
「魔界衆を攻め」
「決着をつけますな」
「無論猿夜叉達もじゃ」
 山を下って高所にいた敵を蹴散らした彼の軍勢もというのだ。
「明日はな」
「はい、下に降りてもらい」
「そして、ですな」
「魔界衆を攻める」
「そうしてもらいますな」
「そのつもりじゃ」
 こう言うのだった。
「無論な」
「ですな、それでは」
「明日の朝、日の出と共に」
「戦を仕掛ける」
「そうしますか」
「そうする、無論その前に朝飯を食う」
 信長は飯を食うことは忘れていない、こうした時も。むしろこうした時だからこそ飯をというのである。戦の前にこそ。
「絶対にな」
「朝も飯をたらふく食い」
「そのうえで」
「魔界衆を攻めて」
「そして勝ちますな」
「そうする、そして我等が来れば」 
 その時はとだ、信長は暗くなっていく中で西の方を見た。そこにいる敵である魔界衆の軍勢、他ならぬ彼等をだ。
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