命の時間
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ウルティアは、その魔法を使う決心をした。自分の命でこの世界を、この混乱の中から救うことができるならと。
(私は、この命を捧げる)
両の手を地面に付けるウルティア。すると、彼女の体から目映い光が溢れ出てくる。
「時のアーク!!ラストエイジス!!」
現在の時刻は1時30分。ウルティアは自らのすべてを賭けて、皆のために犠牲になる道を選んだ。
「あああああああ!!」
周囲に響く女性の悲痛の叫び。彼女の使用している魔法の反動なのか、身体中の血管が浮かび上がってくる。
(堪えろ!!私が苦しめてきた大勢の人の苦しみ・・・それに比べれば・・・これしきの苦痛・・・)
痛む体にムチを打ち、懸命に魔法を続行するウルティア。次第にその痛みは全身を蝕み、更なる苦痛を与えていく。
(体の細胞・・・一つ一つに激痛が・・・走る・・・これが・・・自分の命を・・・代償にするということなの?)
ドンドン流れ出ていく魔力。歯を食い縛り、体を大きく反らせ、自らの時が消えていくのを感じていく。
(命が・・・流れ出していく・・・私の時が・・・消えていく・・・私の命が・・・未来が・・・)
「あああああああ!!」
ついに全身に及んだ逃れることのできない痛み。悲痛な叫びを上げることしかできないウルティアは、走馬灯にも似たものが目の前に浮かんできていた。
(悪事と罪に紛れた人生だったけれど、思えば私の周りには、いつも誰かがいてくれた。グレイ、ジェラール、メルディ、カミューニ・・・)
頭の中に浮き上がってくる仲間たちの姿。彼女はいつの記憶にも、ずっと隣に誰かがいたのを思い出していた。
(私のような人間には、過ぎた幸せだった。なのに、私はそれに気付かずに、時間と命を愚かなことに費やしてしまった・・・でも、まだ遅くはない。私は、私の大切な人たちのために、残った時間を全て捧げる!!)
強い意思を持ち、他者のためにさらに魔力を高めていくウルティア。全身を包むオーラが、さらに大きくなり、光を発していく。
(お願い!!世界を元に・・・せめて扉の開く前に・・・私の命の分まで時を・・・)
彼女の体から放たれた魔の力・・・それは次第に大きさを増していき、この世界すべてを包み込んだ・・・
そして、時を戻したこの女性の体は、大きく変化していた。
美しかった白い肌は魔力の熱に焼け黒く変色し、身を包んでいたレオタード型の衣服はボロボロにはだけていた。
だが、彼女は薄れ行く意識の中、ゆっくりと、近くにある時計台へと視線を向ける。
(時が・・・時が・・・戻っ・・・)
時計の座す時間を見たその瞬間、彼女は思わず目を見開いた。針が指していた時間は1時29分。つまり・・・
(一分!?)
彼女はわずか一
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