暁 〜小説投稿サイト〜
FAIRY TAIL〜水の滅竜魔導士〜
命の時間
[5/7]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


ウルティアは、その魔法を使う決心をした。自分の命でこの世界を、この混乱の中から救うことができるならと。

(私は、この命を捧げる)

両の手を地面に付けるウルティア。すると、彼女の体から目映い光が溢れ出てくる。

「時のアーク!!ラストエイジス!!」

現在の時刻は1時30分。ウルティアは自らのすべてを賭けて、皆のために犠牲になる道を選んだ。

「あああああああ!!」

周囲に響く女性の悲痛の叫び。彼女の使用している魔法の反動なのか、身体中の血管が浮かび上がってくる。

(堪えろ!!私が苦しめてきた大勢の人の苦しみ・・・それに比べれば・・・これしきの苦痛・・・)

痛む体にムチを打ち、懸命に魔法を続行するウルティア。次第にその痛みは全身を蝕み、更なる苦痛を与えていく。

(体の細胞・・・一つ一つに激痛が・・・走る・・・これが・・・自分の命を・・・代償にするということなの?)

ドンドン流れ出ていく魔力。歯を食い縛り、体を大きく反らせ、自らの時が消えていくのを感じていく。

(命が・・・流れ出していく・・・私の時が・・・消えていく・・・私の命が・・・未来が・・・)
「あああああああ!!」

ついに全身に及んだ逃れることのできない痛み。悲痛な叫びを上げることしかできないウルティアは、走馬灯にも似たものが目の前に浮かんできていた。

(悪事と罪に紛れた人生だったけれど、思えば私の周りには、いつも誰かがいてくれた。グレイ、ジェラール、メルディ、カミューニ・・・)

頭の中に浮き上がってくる仲間たちの姿。彼女はいつの記憶にも、ずっと隣に誰かがいたのを思い出していた。

(私のような人間には、過ぎた幸せだった。なのに、私はそれに気付かずに、時間と命を愚かなことに費やしてしまった・・・でも、まだ遅くはない。私は、私の大切な人たちのために、残った時間を全て捧げる!!)

強い意思を持ち、他者のためにさらに魔力を高めていくウルティア。全身を包むオーラが、さらに大きくなり、光を発していく。

(お願い!!世界を元に・・・せめて扉の開く前に・・・私の命の分まで時を・・・)

彼女の体から放たれた魔の力・・・それは次第に大きさを増していき、この世界すべてを包み込んだ・・・
そして、時を戻したこの女性の体は、大きく変化していた。
美しかった白い肌は魔力の熱に焼け黒く変色し、身を包んでいたレオタード型の衣服はボロボロにはだけていた。
だが、彼女は薄れ行く意識の中、ゆっくりと、近くにある時計台へと視線を向ける。

(時が・・・時が・・・戻っ・・・)

時計の座す時間を見たその瞬間、彼女は思わず目を見開いた。針が指していた時間は1時29分。つまり・・・

(一分!?)

彼女はわずか一
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ