命の時間
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の目から流れたそれを指でそっと掬い上げる。俺の隣で抱き締められているウェンディは、俺の服をギュッと掴み、大泣きしていた。
「そっか・・・」
それでようやく、俺も理解できた。もう、最初からわかっていた。だけど、認めたくなかったんだ・・・だって・・・お世話になった大切な人が、自分のせいで死んじゃうなんて・・・誰にでも簡単に受け入れられるものじゃない・・・
「ごめんなさい・・・カミューニさん・・・」
その言葉を発した途端、押さえていたものが止まらなくなった。まだ戦わなきゃいけないのに・・・ドラゴンに向かい合わなきゃいけないのに・・・そんなことが頭から抜け出てしまうほど、俺とウェンディはミラさんの腕の中で涙を流したのだった。
第三者side
クロッカスの街にある時計台の前で、両膝をつき、黄昏ているウルティア。その彼女の表情は、今までになく暗いものだった。
(私の人生は・・・呪われていた・・・人を欺き、人を笑い、人の命を奪ってきた・・・)
楽園の塔でジェラールを洗脳し、彼を闇の世界へと引き込んでしまったこと。カミューニとメルディ、二人が住んでいた街を、ゼレフを目覚めさせる鍵を手に入れるために破壊したこと。彼女は様々な悪の道へと続く行動を取り続けてきた。
(だけどグレイ。あなたが、私に人として生きるチャンスをくれた)
七年前、天狼島での抗争の際、ウルティアは自分の母の弟子であるグレイと戦い、母が自分の前からいなくなった真実を知った。そして、彼女は今までの罪を償うべく、気持ちを入れ換えたのだ。
(独立ギルド『魔女の罪』は、私なりの罪の償いのつもりだった・・・償いのはずが・・・私は変わってなかった・・・)
未来から来たローグに対抗するため、この時代のローグを殺そうとしたウルティア。その気の迷いが、彼女を深く苦しめている。
(人の命をなんとも思わない魔女・・・私には、生きる資格はない・・・)
この時彼女は、ある一つの魔法との出会いを思い出していた。それは、まだ悪魔の心臓にいた頃、ギルドの保有する戦艦で見つけたある一冊の魔導書。
失われた時を取り戻すことができる魔法『ラストエイジス』。彼女はその魔法を見つけた時、ただ嬉しくて、必死にその魔法のことを調べていた。だが、マスターであるハデスに、その魔法は使用することを禁止されていた。
その理由は、世界の時を戻す替わりに、術者は全ての時を失うからである。
ウルティアはこの時、それを聞いてガッカリした。周りの時は戻り、自らは時を失ってしまう。そんなものは決して望まないと、彼女は思っていた。しかし、
(今なら望むわ
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