第十二幕その十
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「辛い拷問だよ、けれどね」
「それでも我慢をして」
「カレーを待っているんだ」
「そうなのね、それじゃあね」
「あと少しだね」
「ええ、待てばね」
それでというのです。
「この苦労が報われるわよ」
「そうだよね」
「こうしてお茶を飲んで」
そしてというのです。
「待ちましょう、ただね」
「そのお茶もだね」
「あまり飲み過ぎるとね」
「それはそれでお腹が膨れるね」
「だからあまり飲めないわ」
こう腹ペコタイガーにお話します。
「この一杯で終わりよ」
「そうなのね」
「そう、それじゃあね」
「今からね」
「楽しみましょう」
こうお話してでした、そのうえで。
恵梨香も今は必死に我慢します、そして。
その我慢する中で、でした。ふと。
カレーの匂いがキッチンから恵梨香達のお部屋に入って来ました、それで恵梨香は腹ペコタイガーににこりと笑って言いました。
「そろそろよ」
「そうだね」
「少し待てば」
それで、というのです。
「カレーよ」
「街に待ったね」
「そうなるわ」
「そうだね、待てば」
それでというのです、腹ペコタイガーも。
「あと少しだけね」
「美味しく食べられるわ」
「そうよ」
「じゃあ待つよ、けれどこの香りは」
「もうどうしようもないわね」
「我慢出来ないよ」
実際にもうマタタビを貰った猫になってしまいそうな腹ペコタイガーです。
「これはね」
「そうよね」
「あまりにもいい香りだからね」
「ここまで素晴らしい匂いはないわ」
「そうだよね」
「今はこの匂いを楽しみましょう」
食べる時を待ちながらです。
そうしたお話をしながら待っているとです、遂にでした。
食堂の方からベルが鳴りました、そして。
皆で食堂に入りました、すると。
もう食べる用意が出来ていました、それで皆でそれぞれ席に着くと。
恵梨香は我慢出来ないといったお顔で、です。こう言いました。
「何かね」
「何か?」
「何かっていうと?」
「この待つ時間がね」
まさにというのです。
「待ち遠しくて仕方ないわ」
「まあそれでもね」
ここでまた言ったトロットでした。
「この待つ時間もまた楽しいでしょ」
「言われてみれば」
「これを楽しむこともね」
「食事の楽しみなんですね」
「そうよ、だから今はじっと待って」
「そしてですね」
「楽しみましょう」
こう言うのでした、そして。
遂にそのカレーが来ました、白いお皿の中に御飯とカレールーが入っていてその横には銀のスプーンと紅茶が置かれていて。
テーブルの上には薬味や調味料が用意されています、その準備が全て出来ていて。
オズマがです、皆に言ってきました。
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