一色いろはは祝ってもらいたい。B
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何今のセリフかわいいな。今度戸塚に言わせてみよう。
「てかお前今日誕生日だろ。ここで自分で払ってどうすんだよ。」
「はっ??」
一色は千円札を突き出していた手を自分の体へ引き寄せ、頬を赤らめた。
「な、なんで先輩そんなこと知ってるんですか、キモっ、ストーカー…」
「前自分で言っただろ。とにかく今日は奢らせろ。」
「そうですか。じゃあご馳走様で〜す。
まあ…でも、勘違いしないんで欲しいんですけど、べつに奢らせるために連れてきたわけではないですからね。ただ…私友達少ないし…いつも誕生日一人なので…たまには誰かと一緒に過ごしたいなぁって。それで…」
最後の方は良く聞こえなかったが、こいつは俺より非リアなのかもしれない。なぜなら俺は8年連続小町に誕生日を祝ってもらってるから。ちなみにこの文は「小町だけ」としても真である。夕日のせいか、一色の顔はいつもより赤く、そしていじらしく見える。俺はポケットから小さな紙袋を取り出し一色に渡した。
「ほらよ。なんて言うか…まあ…プレゼントだ。」
「ぇっ、ええっ」
一色はプレゼントを受け取りなぜかそっぽを向く。おい、まずありがとう言えよ。母ちゃんに教わってないのか。
「せ、先輩もこういうことするんですね…、意外です。え、ええと、あの、私もう帰らなきゃいけないんで、では。」
一色は結局そっぽを向いたまま、後ろを振り返り帰っていった。睫毛が光って見えたのは気のせいだろうか。俺はなぜプレゼントを渡したのか。一色を喜ばすため、一色からの好感度を上げるために渡したのではない。これは自己満足だ。欲しかったのは「友達の誕生日にプレゼントを渡した自分」。ただそれだけ。
それでもその日の夜の一色いろはからのメールは比企谷八幡の心をくすぐった。
「そういえばお礼言ってませんでしたね??嬉しすぎて忘れてました笑 今日は何もかもありがとうございました! では、おやすみなさいです??」
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