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五十層での話
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 そう言って、エギルに今日手に入れたアイテムを売り払った。その後、キリトとアスナは何か食材を料理するらしくアスナのうちにキリトが行くらしい。

「待ってよ、ゲツガ君。それなら今からゲツガ君のお家行ってもいい?」

「ん、ああ、別にいいぞ」

 そう言うとユキの顔にまた、花が咲いたように喜んでいた。

「今日はここから《セルムブルグ》まで転移するから、護衛はここまででいいです。お疲れ様」

 そういった瞬間、後ろにいた長髪の男が我慢の限界に達したようで叫んだ。

「ユキ様!!アスナ様!!こんなスラムに足を運びになった挙句、素性の知れない奴を家に上げるや家に行くなど、いけません!!」

 様付けと来たか……。こいつは相当な崇拝者だなと思った。その当人である、ユキやアスナは相当うんざりした表情だ。

「クラディール、ゲツガ君をこれ以上悪く言うならさすがに許さないわよ」

「確かに失礼よ。それに素性はともかく腕だけは確かだわ。あなたよりもレベルは十くらいは上よ」

「な、何を馬鹿な!私がこんな奴らに劣るなど……!」

 そしてクラディールという男はしばらく憎憎しげに睨んでいた顔が不意に合点したかのように歪む。

「そうか……手前ら、たしか《ビーター》だろ!」

「ああ、そうだ」

「俺は、違うけどな」

 俺たちがそう言うとクラディールが勢いづいて言い募る。

「アスナ様!!ユキ様!!こいつら自分さえ良ければいい連中ですよ!!こんな奴らと関わると……」

 言葉を続けようとする前に首に両手剣を押し当てる。

「おい、これ以上言うんだったら、俺はオレンジになってでもお前を黙らせるぞ……」

 そう言って首に押し当てていた両手剣を離した。そして、クラディールを殺気を混ぜた目で睨む。

「行くぞ、ユキ。ここは空気が悪い」

「う、うん」

 そしてユキを連れて六十四層へと向かった。
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