第五十七話
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出来るわけないでしょうが」
そりゃそうだけどさぁ……背中を見て学べ、は、幸村君には些か酷だったんじゃないの?
この子、きちんと説明しないとそういうところは理解出来なさそうだし。
これは幸村君を情けないと一方的に責められたもんでもないわ。
きちんとこの事態を見越して準備をしておかなかった信玄公にも責任がある。
……っていうか、この事態も試練だと言うつもりかもしれないけどさぁ……。
物事何でも気力と根性で乗り切れるわけじゃないのくらい、信玄公くらいの人なら分かってるだろうに。
幸村君の側にいられるのが佐助だけ、ってのは些か辛いな。側近になれるのが忍じゃ、余計に納得しないっしょ。
「……こりゃ、完璧に信玄公の準備不足だな」
「なっ……御屋形様に落ち度があると申されるのか!?」
この期に及んでそんなことを言う幸村君に、正直イラッとした。
「当たり前でしょうが!! 伊達だって、政宗様が家督を継ぐまでに涙無くしては聞けないような壮絶な物語があるのよ!?
政宗様は嫡男で正室の子だから跡取りとしては申し分ないのに、隻眼だからって理由で跡取りから外されそうになったくらいなの!!
たかが病気で右目失った程度で揺らぐようなそんなデリケートな問題だってのに、
全く関係の無い血筋の者を立てようとしてんだから、根回しくらいはきっちりやっておくのが筋ってもんなの!!
大体後継に立てようってのに、側近の一人も置かずに後継者としての教育もやってないってのが信じられない!!
事実上の側近が佐助一人でどうすんの!? これじゃ、忍としての用途で使えないでしょ!!」
だからがっつり怒鳴ってやったわけだけど、私の勢いに押されて幸村君が引いている。
ちなみにこっちのお供四人も引き気味だけど。てか、分かってんのかしら。私が言ってる言葉の意味が。
「……忍の用途で使えぬとは」
「佐助の“今の”ポジションは、伊達で例えるならば小十郎よ。
独眼竜と竜の右目の関係なわけ。佐助も何が言いたいか分かるでしょ?」
そう言えば、佐助が渋い顔をして頬を掻いている。
幸村君はまだ分かっていないようだが、とりあえず佐助が分かってくれてるのなら助かる。
「竜の右目ってのは軍師やって戦場で政宗様の背中守ってればいいってわけじゃないのよ。
あの子がどうして竜の右目と呼ばれているのかと言えば、政務から戦まで幅広く政宗様を支えているからなの。
全ての意味で政宗様の背中を守って、想定される危険から政宗様を遠ざけてる。
先代は小十郎に傳役として政宗様の教育を託しながら、同時に小十郎が傳役の任を離れた時に
今度は政宗様の側近になれるよう教育も施してきた。
何時御自身がどうなっても政宗様が困らないようにと政宗様が小さ
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