第五十七話
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終始暗いし、笑っても口元がちょっと歪むだけで全然笑えてないし……
メンタルクリニックとか連れてって診てもらった方が良くないか? コレ……。
そんなもんこの時代にないのは分かってるけどもさ、本当にそう言いたくなっちゃうんだよ。
あんまりこういうテンションの相手の悩み聞くのは苦手なんだけどもさー……
話聞いてやるしかないかぁ?
「幸村君、話聞くからさ。悩み事があるんなら、ここで全部吐いちゃいな? ね?」
そんなことを言うと、俯きがちだった顔を上げて、暗い表情のまま口を開いた。
「……御屋形様が病に倒れ、某を後継者として武田を任せると言われたのでござる。
本来ならば、武田を継ぐは御屋形様の血族であらせられるべきなのだが、某は武田とは血縁上では縁もゆかりもござらぬ身。
……先程、小夜殿が言われたことが、今武田で起こっているのでござる。
そのことで家中が割れている状態であり……しかも、最近は豊臣の後継を名乗る石田三成殿と天下統一を目指す徳川家康殿が、
事実上の天下の覇権を巡っての戦いをしようと各国に同盟を持ちかけているのは存じているとは思うが、
この甲斐にも家康殿から同盟の話が参った。
武田はそれを受けるのかどうかでまた家中が割れている……
ただでさえ、某が後継となったことで騒然としているところにこの問題……どうしたらいいのか某にも分からぬのでござる!」
……あー、完璧に二重苦ってところか。
まぁ、他にもいろいろ問題があるんだろうから、悩むところも大きいんだろうけどさぁ……こんな鬱病みたいな状態にもなるか。
政宗様みたいに当主になることを前提として教育受けてるわけでもないから、
いきなり自分にそんな大任が転がり込んできて動揺しないはずも無い。
「後継の問題はこの際置いておくとして、差し当たって徳川との同盟を結ぶか否かってのを早急に結論付けないといけないわよね」
まぁ、個人的には徳川に付いた方が良いと思うけど、蒼紅が共闘するって話は無かったから西軍に付くんだろうねぇ。
「幸村君的にはどうしたいわけ?」
「徳川は先だって武田へ攻め入っている……同盟とは名ばかり、従属を迫っているに他ならぬ。
それに徳川は織田包囲網で一度同盟を結んだ相手とはいえ、御屋形様が敵と認めた相手。
某はそれを覆してまで同盟を結ぶ気にはなれぬ!」
「じゃあ、御屋形様が従属しろと言えば、従属しちゃうわけ?」
「そ、それは……」
……これは甲斐はしばらく荒れるな。大将がこの調子なら、家中も騒然としたままだろうしさ。
「……佐助ぇ、後継にするって突然決まった話じゃないんでしょ? 何でそういう教育しておかないの」
「俺様に言われても……跡取りにする教育なんて、一介の忍が
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