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竜のもうひとつの瞳
第十一章〜あの明るさは何処行った?〜
第五十六話
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らどうしようかと思ったわよ。

 「つまりそういうこと。そんなありえない状況が今武田で起こってるってわけ。
次期当主を立てるまでの代役とするのでもギリギリアウトってところなのに、
後継に立てちゃったもんだから余計に話がややこしくなったのよ」

 「……そういうことなのでござる」

 部屋の戸がすっと開いて、入ってきたのは幸村君。
あの元気は何処へやら、そんな感じに暗い顔をして俯いてたりするもんだから、この変化には流石に面食らってしまった。

 ……もしかして、こんな状態だから招いたのかしら。少しでも気を紛らわせるために。

 ちらりと佐助を見ると、佐助は素知らぬ顔をして幸村君を見ている。

 何となく佐助の策に嵌ってしまったような気がして、私は溜息を吐いた。
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