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竜のもうひとつの瞳
第十一章〜あの明るさは何処行った?〜
第五十六話
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が来るとは思う。今度は蹴飛ばさないと思うけどね。

 「奥州も大変なんだねぇ〜」

 ふわりと私達の前に現れた佐助を四人が見て驚いてるけど、どうせ覗いてんだろうと思っていたから特に驚きはない。
っていうか、どうせそういうことも全部分かった上で相づちを打ったんだろうから何も言わない。

 「佐助、盗み聞きは良くないぞ〜? ただでさえ、ストーカー疑惑があるんだからさぁ」

 「ストーカー?」

 「女性の後をつけて喜ぶ変態のこと」

 そう説明してやれば、途端に四人が刀を抜かんばかりの勢いで佐助に迫る。

 「テメェ、景継様の後つけて喜んでやがったのか!?」

 「いくら景継様が美人だからって、そいつは許せねぇ!!」

 美人だなんて、文七郎分かってるじゃないの。戻ったら昇給してもらえるように政宗様に掛け合ってあげるね。

 「ちょ、違っ……! 喜んでないし、そういう趣味もないから!!」

 えー、だって幸村君と二人で団子買いに行ったところをついて来てたじゃん。
しかも丸分かりな感じで。あんまりにも可哀想だったから大人の対応しちゃったくらいだしさ。

 まぁ、佐助をあんまり苛めてもアレなので、四人には敵わないから止めて置くようにと適当に止めに入る。
もっと腰を入れて止めに入ってと言われたけど、事実だと思うからぶっちゃけ知りません。

 「話戻すけど、甲斐だって大変じゃない? 何か、徳川に付くか付かないかで大喧嘩してたみたいだけど」

 そう言えば、佐助は迫る四人から逃れて私の前で溜息を吐く。

 「どうせ知れることだから言っちゃうけどさ、今武田を仕切ってるのが真田の旦那なわけ。それも御屋形様の後継者としてね。
真田の旦那に白羽の矢が立ったのは、紛れも無いうちの大将の希望なんだけどもさ、それでちょっと武田の内部がごたついてるんだ」

 「まぁ、幸村君が立ったらそうなるだろうねぇ」

 幸村君は武田の人間じゃないし、あくまで一家臣に過ぎない。
まだ未婚だし武田の嫁がいるわけでもないから、武田の後継者としては論外だ。
そんな人間が信玄公の後継として選ばれれば、そりゃごたつくのも無理は無い。

 「え、どういうことっすか?」

 それを分かっていないのは四人組、皆首を傾げて見てくるから頭が痛い。

 「例えば、政宗様が病で倒れたとしてよ? その後継に小十郎を立たせたとすれば、どうなると思う?」

 「え、小十郎様をですか? そんなこと絶対にありえないっすけど……
小十郎様は伊達の人間じゃないから、御家臣衆から相当な反発が出るでしょうし、俺らはいいっすけど周りが納得しない……あ」

 左馬助がそこまで言って、ようやく四人は気付いてくれた。
別に良いんじゃないかで終わった
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