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竜のもうひとつの瞳
第十一章〜あの明るさは何処行った?〜
第五十六話
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うか……何か違うような気がするんだよねぇ。
戦の前って結構殺気立った様子があるじゃない? それに、闘気っていうのかな。そういうのに溢れてるというか。
こう、どんよりと負のオーラが漂っている、ってのは無いよねぇ。

 「某は断じて反対でござる!! 兄上は家康殿がこの甲斐に攻め入ったことをお忘れか!?
東軍に組する、即ちそれは武田は徳川に従属することを意味しておるのですぞ!?」

 突然聞こえた幸村君と思われるでかい声に、五人揃って吃驚した。
あの子、元々声がでかいけど、怒鳴ると更にでかい。
っていうか、あの子がキレるなんてどういうシチュエーションだ。
まぁ、温厚では無かったけど、小十郎みたいに短気でも無さそうだったし。

 「ならばこれよりどうするつもりだ! 今、日本は東西に分かれて戦を始めようとしておるのだ!
徳川は既に各国に同盟を持ちかけて強固な軍を築いているという。
先日は奥州の独眼竜に同盟を持ちかけたそうだ……そのような相手と甲斐一国が互角に渡り合えると思っておるのか!!」

 喧嘩の相手であるお兄さんの幸村張りにデカイ反論の、
奥州に同盟を持ちかけた、その言葉に私は眉を顰めていた。

 徳川が奥州に同盟を持ちかけた、つまり小十郎のストーリーが終幕したと考えて良さそう。
このでかい声でのやり取りに四人も動揺を見せており、一体どうなったのかを聞きたそうな顔をしている。

 「多分、奥州は同盟を結んでないと思うよ」

 まぁ、ストーリー上小十郎が勝手に断ったわけなんだけどもさ。
普通に同盟持ちかけられたら、主の状態を考えても保留ということで話を持って行くもんだけど……
家康さんも軍隊抱えて来てくれたもんだから、小十郎が追い返したわけだ。
いくら政宗様の側近だからってこんなこと勝手にやったら切腹もんだけど、とりあえずそれは置いといてだ。

 「どうして結んでないって」

 そりゃ、左馬助さん。ストーリーを知ってるからですよ。
ってなことは言えないから、とりあえずそれらしい説明をしておかないとね。

 「現状では同盟を組むほど切迫した状況にないと考えると思う。
要するに、大戦はまだ起こらないって考えてるってことね。
大体、奥州だって相当国力が落ちてるんだから、それどうにかしないとしばらくは国外には攻め込めないしさ。
それが分かってるから同盟の話を保留にしたと予測してる。
徳川もおそらくはこっちの事情を把握して引いたと思うしね……
まぁ、政宗様の性格上、何処かと組んで戦うってのはポリシーに反するとか何とか、そんなこと言いそうだけどさ」

 つか、そういうことも考えずに政宗様の意見を鵜呑みにして同盟蹴ったら纏めてぶん殴るけどさ。
多分、政宗様が目を覚ました後にもう一度正式に同盟の話
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