第一部
第二章 〜幽州戦記〜
十 〜激突〜
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はい。それなれば、命に従わぬ者は、明確な規律違反。少なくとも、表だっての不服従は不可能でござろう」
「一つ、いいかしら?」
と、賈駆が手を挙げた。
「どうぞ」
「それだと、ボク達はどういう立場になるの? アンタが全部動かす、というのなら、軍師は必要なくなるわ」
「いや、それは違い申す。賈駆殿と、稟、風には、参謀の任についていただく。無論、拙者の命には従っていただく事になりますな」
「参謀ね……。それは、今まで通り、というように理解していいのね?」
「結構でござる」
「わかったわ。それで、アンタは引き受けるのね?」
「董卓殿と丁原殿が、それで異存なし、と仰せならば」
「私は構いません」
「ワシも、それで良い」
決まりだな。
……しかし、自ら提案しておいて何だが、責任は重大。
責任を負うのは総大将とは申せ、私が誤れば最悪、全軍に被害が及ぼう。
私は何度か斥候を放ち、詳細を調べさせた。
慎重を期すに越した事はない。
時には大胆さも必要だが、皆の信頼を得る事が肝要。
この戦い、必ず勝利を得る必要があるだろう。
「敵は陣を敷いているようだな、賈駆?」
臨時の措置とは言え、今は賈駆も我が命に従う立場となる。
賈駆らから、そうである以上敬称は要らぬ、と申し出があった。
固辞する理由もなく、指揮系統もその方が明確で良い故、黙って受ける事とした。
「ええ。ただ広がっている訳じゃないわ、きちんとした鶴翼の陣よ」
「……ふむ。どう見る、稟?」
「はい。見よう見まねであれば、我が軍の陣形に応じた動きが出来ない筈です」
「よし。ではまず、魚鱗の陣にて敵前に布陣。その後、鋒矢の陣へと変える」
「お兄さん。それでは、包囲されて各個撃破されてしまいますが?」
「だが、突破力は随一だ。張遼、星、二人が矢の先頭に立て」
「よっしゃ! 任せとき!」
「御意!」
「むー、お兄ちゃん。どうして、鈴々じゃないのだ?」
頬を膨らませる鈴々。
「良いか。鋒矢の陣は、正面突破に適した陣形だ。その分、先頭を行く将は常に冷静に状況を判断し、かつ危険な役目となるのだ。その点、張遼と星が適任であろう。それが、私の判断だ」
「愛紗は左翼に、稟が補佐せよ」
「はっ!」
「御意です」
「鈴々は右翼。風がつけ」
「わかったのだ!」
「了解ですー」
「華雄は中央だ。先鋒が押されるようであれば、前に出て押し返せ。頃合は、賈駆が判断せよ」
「うむ、わかった」
「わかったわよ」
「……恋は、どうする?」
「呂布には、別に動いて貰う。それまで、本陣で待機だ、いいな?」
「……わかった」
そして、両軍の間隔がじわじわと迫る。
「ふむ。鋒矢の陣を見て、中央を重
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