第四章
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「ここは」
「そうだな、何をしてるのかな」
「やっぱり気になるしな」
「そうするか」
「ちらりとな」
そしてこっそりとだ、こう話してだ。
士の一人が二人が深夜までいる幹部の執務用のテントまで行った、そして近くからそのテントの中を見てだった。
それからだ、仲間達のところに戻って話した。
「ずっと仕事してたぞ」
「おい、真夜中までか?」
「毎晩か」
「そうしてるのか?」
「二人共朝早く起きてずっと指揮執ったりしてるぞ」
「自分も動いてな」
「殆ど休んでないぞ」
日中はというのだ。
「飯だってかき込んでてな」
「休憩時間も動いてて」
「それでもか」
「夜遅くまでか」
「仕事してるのか」
「ああ、書類仕事や大隊長と仕事の打ち合わせをしていた」
そうしていたというのだ。
「荻生三佐とな」
「そういえば大隊長もな」
「ずっと不眠不休だな」
「働き詰めだな」
「そうだよな」
「大丈夫か?」
「ずっと寝ないで」
このことが心配されだした。
「昼も夜もってな」
「それじゃあ身体がもたないだろうに」
「お二人共何も言わないけれどな」
「顔にも出さないけれどな」
働いているというそうしたことをだ。
「どうなんだろうな」
「俺達には何も言わないな」
「まあ指揮自体はな」
「要領悪いけれどな」
二人共というのだ、このことはいつも通りだった。
だが二人がだ、昼も夜もだ。
必死に働いていることは確かに見た、それでだった。
まずは先任下士官達がだ、言いはじめた。
「こうなったらな」
「ああ、俺達もな」
「しっかりしないとな」
「隊長が頑張っているんだ」
「必死にやっているんだ」
だからだというのだ。
「もっと頑張るか」
「ああ、それに大変なのは俺達じゃない」
「被災者の人達だ」
他ならぬ彼等だというのだ。
「あの人達の為に来たんだ」
「ならあの人達の為に働こう」
「矢田二尉みたいにな」
「そうしよう」
こう話してだ、先任下士官達はいつも以上に働きだした。部隊の要である彼等がまずそうなり若い下士官や士達もだ。
必死に働きだした、矢田と森下の下で。だが。
二人はその状況でもだ、あくまでだった。
不平不満も言わず黙々と被災者達の為に働いた、朝は早くからだった。
自衛隊の起床時間の六時より早く起きて仕事をはじめ食事を摂るとすぐにだった。
休まずに現場を見たり被災者の人達の話を聞いてだ、部隊を指揮した。大隊長とも話をして夜は書類の仕事もして。
必死に働いた、だが部下達にはだ。
決して怒らず笑顔のままだった、その二人を見てだった。
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