第五十五話
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早く出て行かないと小十郎の最終章が始まっちゃうもん。
夜を待って、人気がなくなったのを見計らって旅支度を整えて竹中さんから貰った刀を腰に差す。
結局この刀の銘も知らないままに使ってるけど、いつかはきちんと知りたいもんだわ。この刀が何なのかって。
そっと部屋を抜け出して見回りの兵達に見つからないように厩へ向かうと、
そこには部屋で休んでるはずの人物が待ち構えていた。しかも寝間着のままで。
「ちょ、小十郎!? アンタ、何やってんの!?」
「嘘吐きはどちらですか。何処にも行かないと言ったのに、一体どちらに行かれるおつもりですか」
……よりにも寄って面倒臭い奴に遭遇しちゃったよ。これなら足軽の連中に見つかった方が良かった。
つか、この恰好で散歩って言っても絶対に信用しないしなぁ……。
「第六天魔王が復活の兆しを見せてるんですって。
本当に復活するかどうかは分からないけど、関東や西国じゃ謎の失踪事件が頻発してるって聞いてね。
いずれ奥州でも問題になりそうだから、その調査に」
「何も今、わざわざ姉上が行く必要はございますまい。大体それならば、何故このように人目を避けて行かれるのですか」
そりゃ、アンタ……小十郎に気付かれたくなかったからに決まってるじゃん。
絶対見つかったら説得するのが面倒だもん。小言始まると正直ウザいし。
それに説得してる時間もなさそうだしさ。
さて、どうしたもんかな……馬鹿正直にこちらの“真意”を話すわけにもいかないし。
「私だから行くのよ。私がここにいると小十郎の為にならない。そういう判断。
……っていうかさ、日中に出て行けば一度出奔してんだから、大騒ぎになって出て行けないでしょ? だから」
「何故小十郎の為にならぬと」
「だー!! もう煩い!! アンタにゆっくり説明してる暇がないから、わざわざこんな時間を選んで出て行こうとしたの!! いずれ全部分かる!! だから今は黙って行かせろ!!」
あー!! もう本当に面倒臭い!!
男のくせに無駄に細かくネチネチと……そういう面倒なところが良くないんだっつの。
いい加減そういうところ直さないと、結婚しても愛想尽かされて出て行っちゃうわよ?
とりあえずぶん殴って気絶させて出て行くか、そう思っていたところで、
いつもしつこく食い下がる小十郎が珍しくあっさりと引いた。
そして袂から何かを取り出して私に握らせる。
「大した額ではございませぬが、お持ち下さい。金子ならば、いくらあっても多過ぎることはないでしょう」
「小十郎?」
「……姉上が無意味なことをするはずがないのは分かっております。
いずれ分かるというのであれば、それを信じましょう。
……ですが、流石
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