第五十五話
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と思ったことはございません。
ですから、全てが終わっても……自ら死を選ぶことはございません」
「嘘吐き。しょっちゅう切る切る詐欺する癖に」
「……詐欺と言わないでいただけますか。腹を切る覚悟で政宗様をお諌めしているのです」
切腹騒ぎがあると、また小十郎か、と言われるほどに今まで腹を切ると言い出した回数は尋常ではない。
どうせやらないだろう、ってのは小十郎には通用しなくて、放っておけばマジでやるから性質が悪い。
一回放っておいたら深手になる一歩手前のところまで腹刺しやがって、あの時は真っ青になって医務室に運び込んだっけ。
その後は姉と私で寿命が縮むような説教を食らわしてやって、政宗様にもこってりと絞った覚えがある。
とにかく、そんなわけで止めに入ってるんだけどさ、いちいち止めに入るこっちの苦労も察してもらいたいもんだけどもね……。
「姉上は……小十郎の前では泣けませんか」
小十郎が伸ばした手が私の目元に触れる。
越後に入る前に一度泣いたきり、一回も泣いちゃいないんだけど……もしかして、気付いてたのかな。
普段、あんまり小十郎の前で涙見せたりしないからね〜……。
手篭めにされかけた時は全力で泣いたけどさぁ……。
「泣くなんて、私のキャラじゃないでしょ。それに泣くほど悲しいことがあるわけでもないし」
ひらひらと手を振ってわざとらしいくらいに笑ってみせる。
私にだって押し通したい意地はある。誓いとまでは言わなくても、心に決めてることはある。
……私がここで泣いたら、アンタが不安になるでしょう? それだけは避けたい。
ただでさえ、子供の頃は辛い思いをすることが多かったんだもん。今は……少しでも長く笑っていて欲しい。
そっと私の目元に触れていた小十郎の手を離させて、代わりにその手を握る。
穏やかに微笑む小十郎の手を撫でて、少し休むようにと促した。
「……姉上」
「ん?」
「……何処にも、行きませんか?」
「何言ってんの、ここにいるでしょ。側にいるから、ゆっくり休みなさいって」
目を閉じた小十郎は、すぐに眠ってしまった。
……どうにも勘が鋭いからなぁ、この子は。まぁ、それが竜の右目たる所以なんだろうけども。
握っていた手を布団の中に入れて、きちんと眠っているのを確認して部屋を出た。
部屋の外には風魔がいて、じっと待機している。そういえば、まだ報酬払ってなかったんだっけ。
「ごめんねー、報酬払わないと。いくらになるか教えてもらえる?」
そう言って差し出されたのは一枚の紙。きっちり帳簿に着けて費用を算出しているあたり、結構しっかりしてるというか何というか。
いや、城のシステムを理解して配慮
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