第五章
[8]前話
「告白してもね」
「何もならない」
「成功するものもしない」
「そういうことよね」
「ええ、皆とこのことをお話もしたけれど」
それでもというのだ。
「本当にね」
「お互いに知ってから」
「そのうえで、よね」
「交際を進めていく」
「それがいいわよね」
「確かにその通りだから」
それでというのだ。
「私もああしたのよ」
「そうなのね、けれどね」
「奇抜な方法でいったわね」
「まさかマネキンのふりをして相手の人の前に出るなんて」
「目立つ服を着てショーウィンドーの中に入って」
「毎朝毎夕そうするなんて」
「どうして相手に見て意識してもらえるか」
そのことを考えてとだ、アンネリは答えた。
「そう考えるとね」
「あの方法がなのね」
「いいって思ったのね」
「マネキンに化けることが」
「それでなのよ」
ああしたというのだ。
「私もね、そしてね」
「それであんたに声をかけるきっかけになって」
「無事今に至った」
「そうなったのね」
「そう、恋愛は畑よ」
それになるというのだ。
「畑は種を蒔かないとね」
「まずはその種を蒔くこと」
「そしてその種がマネキンだったのね」
「その演技をすることだったのね」
「そういうことになるわね、そしてね」
アンネリはコーヒーを飲みながら笑顔で話した。
「今実ったのよ」
「その種が育って」
「そうなったってことね」
「そうよ、じゃあその育った実をね」
それをともだ、アンネリは話した。
「これからどんどん大きくしていくわ」
「ええ、頑張ってね」
「これからもね」
「その実に栄養をやっていって」
「そうしてね」
友人達もそのアンネリに笑顔で励ましの言葉を送った。そして彼女は実際にだった、ユッシとの恋愛をさらによいものにさせていった。今度はマネキンにはならなかったが。
ショーウィンドー 完
2015・11・17
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