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竜のもうひとつの瞳
第五十四話
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べてはびしゃもんてんのみちびきのままに」

 毘沙門天の導きのまま、か。
そういえば、毘沙門天の生まれ変わりだってマジで信じてるってのが上杉謙信じゃなかったっけ?
BASARAじゃマジだったみたいだけど、織田信長の第六天魔王は結構冗談だったってネットで見た覚えがあるなぁ。

 「こんなところで、私達相手にもたついていて良いのかしら。
甲斐を攻めるんでしょう? 信玄公相手にここで兵を失うのは得策とは言えないんじゃないかしら」

 「しんぱいにはおよびません、りゅうのみぎめよ。
かいのとらとしゆうをけっするそのまえに、ほそりしりゅうにいんどうをわたすほうが、よほどおおきなこと。
それに、ふたつのりゅうのみぎめをうつことも、まただいじ」

 まぁ、それはそうだろうね。私も同じ状況だったら同じように動くわけだし。

 モブの一人から刀を受け取って、再び動き出しそうな気配の軍神を見て、私達は揃って刀を構える。
ちなみに軍神の刀はこっちの近くにあるわけだけど……。

 かすがの登場は見込めないのか……。

 「いざ!」

 素早く軍神が突っ込んできたところで、毛皮のロングコートをしっかりと着たかすがが現れた。

 「謙信様!! 甲斐の虎、武田信玄が敗れましてございます!!」

 その動きにぴたりと軍神の動きが止まる。

 ……良かった、間一髪ってところかな。

 信玄公が徳川に敗れたこと、病で倒れたことを簡素に伝えられて、
軍神は途端に興味を失ったように背を向けて立ち去ってしまった。

 「……どうにか、命は取り留めた……かな?」

 モブ達もいつの間にかいなくなったし、とりあえず助かったと見ても良さそうだ。

 「……おい」

 かすがが小十郎に羽織を差し出している。
不愉快そうではあるけどやはり女の子なのか、きちんと畳んであるのがいじらしい。
っていうか、その毛皮のロングコートって指摘されたから着てきたわけ?

 「……一応借りていたからな。……礼を言う」

 「……ああ」

 小十郎が受け取ったところでかすがが姿を消した。

 あの形のいい乳を見れなかったのは残念だけど、つかあの出るとこしっかり出た引き締まった身体を見れないこと自体が残念だけども……
まぁ、あんだけセクハラしたんだから仕方が無いかぁ。
っていうか、私は基本的にフェミニストだから、普段はあんなことしないからねっ!
ええ乳してんなぁ、とか心の中では思ってるけど!

 「……あ」

 小十郎が羽織を開いて小さく声を上げたのを聞き、一体何かと見てみれば、
羽織のほつれがきちんと直されており、新品同様に綺麗になっていた。

 もしかして、それで登場が遅れた? っていうか、女の子扱いされて実は
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