第四章
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「そうでもないんだよ」
「素人がサッカーチームのフロントっていうことも」
「あるんだよ」
「それがあのチームなのね」
「ああ、何も知らない連中がだ」
サッカーというスポーツをだ。
「フロントだからな」
「監督やコーチを入れ替えてるのね」
「しょちゅうな。それで何も知らないのにな」
「まだあるの」
「現場介入するんだよ」
そうしてきているというのだ。
「そしてあれこれ言うからな」
「素人が現場に介入したらまずいでしょ」
「その通りだよ、それも悪いんだよ」
「いいことbないわね」
「ああ、そうした悪循環、悪条件が揃い過ぎてな」
「チームは弱いのね」
「弱いままなんだよ」
それこそというのだ。
「ずっとな」
「よくそんなチーム応援してるわね」
やれやれといった顔でだ、ミレディーは夫に言った。呆れた顔で。
「これまで」
「そう思うか」
「思うわよ、無茶苦茶じゃない」
「いいところないよな」
「実際にそう思えるわ」
「そうだよな、実は俺もな」
ビールの苦さ以上にチームの状況に苦さを感じながらだった。シャルルはミレディーに話した。
「そう思ってるよ」
「やっぱりそうよね」
「お家騒動だってしょちゅうでな」
「フロントが原因の」
「監督更迭だの選手愛だの派閥だのトレードだの引退だのな」
「経営陣が馬鹿だとね」
「会社が傾くだろ」
まさにそうした話だった。
「俺の会社は社長しっかりしてるけれどな」
「サッカーの方とは違って」
「そっちはいいけれどな」
仕事先の方はというのだ。
「チームはな」
「フロントが馬鹿で」
「そっち問題なんだよ」
「いいことないわね」
「全然な」
「本当によくそんなチーム応援してるわね」
「だから好きだからな」
今はビールを飲むのを止めてだ、シャルルはミレディーに答えた。そうしたことを話しながらそしてであった。
「子供の頃から」
「好きになったからこそ」
「応援してるんだよ」
「それだけ酷い状況でも」
「ははは、あれだな」
ここでだ、シャルルはこう言った。
「どうしもない屑女に惚れたな」
「馬鹿男ってことね」
「ああ、そうなるな」
「それっていいことじゃないわよ」
「全然な。けれどな」
「惚れたからこそ」
「応援しているんだよ」
そうしたどうしようもないチームをというのだ。
「今もな」
「そうなのね」
「それでこれからもな」
「応援していくのね」
「全力でな」
「というかそのチーム優勝したことあるの?」
ミレディーはここでシャルルに尋ねた、前から思っていたことを。
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