第三章
[1/2]
[8]前話 [1]次 最後
「トムあのサックス欲しいよね」
「絶対にね」
「二週間経ってもだよね」
「欲しいよ」
絶対にというのだ。
「そう思わない筈がないよ」
「その通りだよね」
「何でお母さんそう言ったのかな」
「お父さんにも話したの?」
「お父さんもお母さんの言うことならってね」
「そうしろって言ったんだ」
「そうなんだ」
まさにというのだ。
「だからね」
「二週間後で」
「また言うよ」
トムは怪訝な顔でチャーリーに答えた。
「その時にね」
「じゃあね」
「それでチャーリーは」
「僕は何かね」
どうにもという顔での言葉だった。
「もういいかなってね」
「思ってるんだ」
「別にね」
それこそというのだ。
「そう思うから」
「だからなんだ」
「もういいよ」
こう言うのだった。
「楽器はね」
「そうなんだ、チャーリーは」
「けれどトムは、だよね」
「うん、絶対だよ」
強い言葉だった、表情も。
「僕はあのサックス買うよ」
「そうするね」
「絶対にね」
こう二人で話すのだった、そのうえで。
この日は二人だけでなく皆で野球を楽しんだ、その次の日はバスケだった。毎日遊び倒していた。そうしている間にだった。
二週間経った、その日トムが学校から家に帰ると。
母のロザリーはトムにだ、こう尋ねて来た。
「それでどうなの?」
「どうって?」
「二週間経ったわよ」
微笑んでだ、彼に問うのだった。
「もうね」
「二週間って」
「忘れたのかしら」
「ええと」
首を傾げさせて言った彼だった。
「何かあったかな」
「サックスよ」
母はあえて言った。
「サックス欲しい?」
「サックスって」
具体的に言われてもだった、トムは。
その名前のことを聞いてもだ、首を傾げさせるばかりだった。
「楽器の」
「あんた欲しいって言ってたわよね」
「そうだったかな」
「そうよ、それで二週間待ってって言ってたでしょ」
「そういえばそうだったかな」
「そうよ、それで今はどうなの?」
母はまたトムに問うた。
「欲しいの?」
「ううん、何かね」
首を傾げさせてだ、トムは答えた。
「別にいいよ」
「そうなのね」
「あの時は欲しかったけれど」
それでもというのだ。
「今はいいから」
「そう、わかったわ」
「これでね」
「それじゃあね」
こう話してだ、そしてだった。
トムはいいとしてだ、そのうえで。
この日はチャーリー達と一緒にバスケを楽しんだ、そしてだった。
そのバスケをしながらだ、チャーリーに言ったのだった。
「新しいバスケットボール欲しいな」
「そうだよね、そろそろこのボールもね」
チャーリーはボールを投げつつトムに応えた。
「古
[8]前話 [1]次 最後
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ