第一章
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サックス
ニューオーリンズに住むトム=ヘンドリックスは小学校に通うごく普通のアフリカ系の少年だ、まだ背は小さく肌は褐色で髪の毛はパンチパーマの様になっている。
目はあどけなく身体は痩せても太ってもいない、その彼は今は街に出てそのうえでゲームセンター等で遊んでいた。
その彼がだ、一緒に遊んでいる友人である同じアフリカ系のチャーリー=クローリーにこうしたことを言われた。
「ちょっと商店街の方行こう」
「商店街に?」
「そう、そっちにね」
彼より背が高く髪の毛が赤めの彼への誘いだった。
「そうしない?」
「商店街の方に」
「そこに行って何か買おうよ」
「ガムとか?」
「チョコとかね」
そうした菓子をというのだ。
「あそこお菓子が揃ってるお店もあるし」
それでというのだ。
「そこに行こう」
「そう、じゃあ」
トムも頷いてだ、そしてだった。
実際にその商店街に行ってガムを買って二人でくちゃくちゃとさせながら商店街を歩いた、二人の周りを多くの人が行き交い左右には多くの様々な色の看板の店がある。
その店の一つ一つを見ながらだ、トムはチャーリーに言った。
「服とかね」
「色々なお店あるね」
「それにね」
さらにというのだ。
「女の人も多くて」
「いいお店が多いね」
「そうだね」
こう話すのだった、そして。
そのうちの一軒にだ、奇麗なモデルの様な女の人が入ったのを見てだった。トムはチャーリーにこうも言った。
「見た?」
「さっきの奇麗な人だよね」
「何かね」
その人はというのだ。
「肌が黒檀みたいで」
「それで背が高くてね」
チャーリーも言う。
「モデルさんみたいだったね」
「スタイルもよくてね」
「そうだね」
「あの人が入ったお店って」
その店の話にもなった。
「確か」
「うん、あのお店だよ」
チャーリーはその店を指差して話した。
「あそこに入ったよ」
「それじゃあ行ってみる?」
「うん、あのお店にね」
「それじゃあね」
その女の人を見る為にだ、二人で話してだった。
そしてだ、共に前に進んで店のところに来た。店は楽器を扱っている店で中に入ると多くの楽器があった。だが。
女の人はいなかった、それで二人は目を瞬かせて言った。
「あれっ、あの人は」
「いないね」
「何処に行ったのかな」
「ああ、どうしたんだい?」
その二人にだ、店の親父が声をかけてきた。
「何か買うのかい?」
「さっき凄く奇麗な人がお店に入ったけれど」
「あの人は」
「ああ、その娘ならね」
親父は二人の言葉を受けてすぐに察して言った。
「うちの店員だよ」
「あっ、そうなんだ」
「このお店の人なんだ」
「そうさ
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