第五十三話
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と。
男が守りきれるのはせいぜい一つきりなら、女の私はそれ以上のものを守らなきゃ。
「……強いな、小夜さんは」
大刀を納めた慶次に、私も構えを解く。勿論、いつ攻撃されてもいいように隙は見せてないけどね。
「俺は駄目だな。迷って悩んで……こうやって今も身動きがとれずにいるんだ。
家康も秀吉も、どっちも友達だからさぁ、倒した家康のことも憎めなくて……うん、気持ちの整理がつかないんだ」
「こんな身も心も凍るところに留まってるからそんなこと考えるのよ。
少し散歩でもしてきたら? 得意でしょ、散歩は。
頭で考えたって結論は出ないよ、そういうのは……だったら、心の赴くままに行動した方がずっと結論は早く出ると思うけどね」
「心の赴くまま……か。そうだな、こうやって思い悩むのは俺らしくねぇよな。
ありがとう、小夜さん。話せて良かった」
随分と表情も晴れて穏やかな顔になった。でも、憂いの色は残ってる。
まぁ、この程度で晴れるほど底の浅い悩みじゃないのは分かるよ。だって、慶次が暗い顔するなんてありえないもん。
でも、下手に戻られてまた出撃されても手間だしなぁ……それに、勝手に戻って軍神に叱られるってのも可哀想だし。
「慶次、私が適当に送ってあげるよ!」
「へ? ちょ、ちょっと!」
重力の力で浮かせて、モブ同様に力任せに遥か彼方に飛ばしてみる。
間抜けな悲鳴が辺りに響き渡ったけど、慶次はプレイヤーキャラだし死ぬことはないでしょ。
それに風の婆娑羅者だから自分でコントロール出来る……って信じてる。
あー、いい仕事したなぁ〜。きっと慶次に感謝されちゃうね。今度会ったら手数料取ることにしよう。
無駄に感じる爽快感を全開にして、さっさと陣を落として山頂を目指すことにした。
小十郎、苦戦してないと良いんだけどなぁ〜……。
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