暁 〜小説投稿サイト〜
ゲーム
第二章
[1/2]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話
「それでそうした悪い奴もいいかなって思って」
「人斬り侍になったんだな」
「もう誰彼なしに斬るね」
「農民や商人でもか」
「職人でもね」
「貴族も斬るんだな」
「昨日斬ったよ」
 ゲームの中でというのだ。
「一人旅をしていたのを見て後ろからね」
「しかも後ろからか」
「うん、ばっさりとね」
「確かに悪い奴だな」
「いや、それがね」
「面白いんだな」
「そうなんだ、妙にね」
 人斬り侍に徹することがというのだ。
「正面から斬ったりもしてモンスターや猛獣も斬りまくってるけれど」
「経験値も金も手に入るしな」
「刀がどんどん強くなっていくしね」
「血を吸ってな」
 斬ったその相手のだ。
「どんどんそうしていくよ」
「そうか、俺もそのゲームやってるけれどな」
「君はトレジャーハンターやってるんだよね」
「ああ、ダンジョンや塔にチャレンジしてな」
 そしてとだ、久則は雄太郎ににやりと笑って答えた。
「お宝ゲットしてるぜ」
「楽しそうだね」
「実際に楽しいぜ、けれどだよな」
「うん、若し僕と会ったらね」
「ばっさりか」
「そうしていいかな」
「その時は逃げるさ」
 久則は笑ったまま雄太郎に言葉を返した。
「復活させたら色々かかるからな」
「手に入れたお金とかね」
「最悪課金もあるしな」
「そうそう」
「だから逃げるさ」
「それで背中から斬られるんだね」 
 祐太郎がプレイしているその人斬り侍にだ。
「宜しくね」
「相手が友達でも関係なしさ」
「そうしてるよ、名乗ってもそうするから」
「ゲームではとことん悪い奴だな」
「それが面白いんだよ」 
 笑いながら言う雄太郎だった、そしてこの日もだった。
 彼はゲームをはじめると誰彼なしに、相手がプレイヤーでもモンスターでも生きものでもだ。斬られる状況ならば。
 斬った、そうしているうちにだった。
 キャラクターは強くなっていき最初は只の刀だった武器もだ。
 次第に切れ味を増してだ、まさに妖刀となり。
 斬れば斬る程威力を増してだ、NPCの村娘を会っていきなり斬り捨ててからだ。彼はゲームの画面を観ながら笑って言った。
「いやあ、また切れ味が増したよ」
 その妖刀の強さがというのだ。
「じゃあまた斬ろうか。次は誰を斬ろうかな」
 こう言ってだ、次の相手の場所に向かった。夜でも昼でも斬られるならだ。
 相手を斬った、ダンジョンを攻略したり盗賊を征伐したりモンスター退治をしたり戦争に参加したりはしなかった。勿論領主になったりすることもなくだ。
 彼は斬って斬って斬りまくった、そのうち斬った数は千を越えた。それで部活の時に久則に誇らしげに言った。
「千人斬り達成だよ」
「ガチでだな」
「NPCもモンスターも含めてね」

[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ