第三章
[8]前話
「何もしていません」
「そうだな、あの軍勢を実際に率いていたのはだ」
マルドゥクは腕を組みその四つの目でキングーを見据えつつ言った。
「ティアマトだ」
「その通りです」
「御主は飾りだった」
「そうです、私はただのです」
キングー自身そのことも言うのだった。
「飾りです、ですから」
「しかしだ」
それでもとだ、マルドゥクはこうも言った。
「御主は盟主だった」
「軍勢の」
「神々のな、飾りだったとはいえだ」
それでもというのだ。
「天命の刻印を与えられた神々の主となった」
「ですが」
「しかし盟主であった」
飾りであってもというのだ。
「その盟主を何とかせぬ訳にはいかぬ」
「しかしです、まことに」
「飾りは飾りでも盟主だ」
そのことは確かだというのだ。
「だから御主は処刑するのだ」
「他の神々も魔物も軍勢も助けられたのに」
「盟主はそうはいかぬ」
例え飾りであったとしてもというのだ。
「御主は首を切られるのだ」
「そんな・・・・・・」
「既にティアマトは死んだ、後は御主だ」
こうも告げたのだった。
「覚悟せよ」
「ただの飾りであってもですか」
「恨むのなら己を恨め」
マルドゥクはキングーに冷たくこうも告げた。
「盟主になれと言われて断らず受けた己の弱さと愚かさをな」
「しかしあれは」
「御主は受けた」
ティアマトのその言葉をというのだ。
「そして今盟主として死ぬのだ」
「しかしそれでも」
「もう言うことはない、貰うぞ」
マルドゥクはキングーに歩み寄るとだ、その刻印を乱暴に剥ぎ取った。そのうえで大刀を持つ処刑の用意をしていた神に顔を向けて彼に告げた。
「もうよい、殺せ」
「た、助けて下さい」
「さっさと首を切ってしまえ」
涙を流し頼み込むキングーを無視して命じた、そして。
キングーは逃げようともがくが動きを完全に抑えられてだ、そのうえで。
泣き喚き命乞いをしながらも首も抑え込まれそのうえでその首を一太刀の下断たれた。そしてその血と涙は世界の糧にされた。神々の盟主であった者として。
キングー 完
2015・11・21
[8]前話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ