第一章
[2]次話
きりがない
川島麗奈はゲームセンターでもぐら叩きをしながらだ、友人の加能愛実にこんなことを言った。
「きりがないわね」
「もぐら叩きはね」
愛実は必死に遊ぶ麗奈を見つつ答えた、愛実は小柄で茶色にした髪を長く伸ばしている。かまぼこ型の目で膨らみ気味の頬に細い眉だ。胸は結構ある。麗奈は黒髪を腹のところまで伸ばしていて眉は黒く濃い。白い細面の顔で目は睫毛が長めでにこりとした感じで唇は薄い。ぎりぎり小柄でないといった感じの背だ。
二人共動きやすいラフな服で膝までのズボンだ、麗奈はその動きやすい格好で次から次に出て来るもぐら達を叩いている。愛実はその麗奈に言ったのだ。
「そうした遊びでしょ」
「まあそう言われるとね」
「だからね」
「今更?」
「そう、今更よ」
まさにそだとだ、愛実は麗奈に返した。
「その言葉はね」
「そういうことね」
「というか麗奈も」
遊ぶ彼女もというのだ。
「それはわかってるでしょ」
「まあね」
麗奈も否定しなかった。
「もぐら叩きはね」
「それで遊ぶものだから」
「そうね、それにしても」
結構素早い動きで叩きつつ言う麗奈だった。
「何処に出て来ても」
「叩くっていうのね」
「そうしてやるわ、大変だけれど」
「頑張ってね、じゃあ私はね」
「愛実もするの?」
「いえ、もぐら叩きはね」
それはと返した愛実だった。
「しないわ」
「そうなのね」
「今一つ苦手なのよ」
だからというのだ。
「UFOキャッチャーするわ」
「ああ、あれね」
「そう、だからね」
「今は何もしないのね」
「あんたがするの見とくから」
そのもぐら叩きをというのだ。
「頑張ってね」
「それじゃあね」
こうしてだった、麗奈はもぐら叩きで身体を動かした。得点は彼女にしても満足のいくものだった。だが遊んだ後で。
麗奈はUFOキャッチャーのコーナーに向かう愛実にだ、こんなことを言った。
「いや、次から次にね」
「叩いてっていうのね」
「いや、いい運動になるけれど」
「きりがないとか?」
「そうなのよね」
こう愛実に言うのだった。
「これが」
「というかね」
「もぐら叩きはそうした遊びよね」
「そうよ」
その通りだとだ、愛実は麗奈に答えた。
「それがもぐら叩きじゃない」
「まあそれはね」
麗奈も愛実のその言葉に頷いた。
「確かにね」
「あっちに出てこっちに出てね」
「それを叩いていく」
「そうしたものでしょ」
「まあね」
「だから言っても仕方ないわよ」
これが愛実の言葉だった。
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