第六章
[8]前話
「そこで後は閻魔様のお裁きよ」
「そうなったんですね」
「ええ、これで私の今回のお仕事は終わったわ」
「ううん、何か」
「こうしたお仕事がなのね」
「信じられないですね、まだ」
その目で見てもというのだ。
「いや、本当に」
「そうでしょうね、警察のお仕事とはね」
「思えないですから」
堀江の言う通り霊能力者や宗教関係者の仕事だと思うからだ、実際に堀江自身今は巫女の服を着ている。
「お話を聞いても」
「それでもなのよ」
「こうしてですか」
「警察にもこうした部署があってね」
「話が刑事になるとですか」
「私の様な人間の出番になるのよ」
「特別監察官の」
奥野はこう言ったがだ、ここでもだった。
堀江はくすりと笑ってだ、奥野に言った。
「イン『スペクター』のね」
「そう言われますか、今も」
「そうよ、まあとにかくお仕事は終わったから」
「ホテルの人にもお話して」
「帰るわよ」
「わかりました」
こうしてだった、堀江は部屋に戻って下の服に着替えてだった。
そのうえで警視庁に戻ったのだった。
そして自分の席に座ってからだ、奥野はあらためて言ったのだった。
「よくわかりました」
「私のお仕事がよね」
「それに私の仕事も」
「君のお仕事は私のサポートというかね」
「付き人ですか」
「そうなるわ」
こう奥野に言うのだった。
「やっぱり一人はそうした人が必要だから」
「そうなんですね」
「そうよ、これで納得したわね」
「ええ、それじゃあね」
こう話してだ、そしてだった。
堀江はあらためてだ、奥野に言った。
「これからも宜しくね」
「はい、監察官ではなくて」
奥野は自分の言った言葉をここで一旦引っ込めてだ、訂正して言い直した。
「イン『スペクター』」
「合格よ」
堀江はその奥野ににこりと笑って返す、そうして仕事が終わった後のお茶を楽しみながら今日は錬金術の本を読むのだった。
イン『スペクター』 完
2015・10・20
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