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竜のもうひとつの瞳
第五十一話
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を一本ずつ改める。
小十郎が咎めてきたけど、軽くダメージにならないようなところを狙って回し蹴り食らわせておいたから大人しくなってくれた。

 「松永とかち合ったら、間違いなく戦うことになるよね。六の爪狙って」

 「まぁ……そうなりますな」

 「あげちゃおうか。欲しいんなら」

 「なっ……何を言っておられるのですか! か、軽々しく政宗様の刀を差し出すなど」

 いや、だってねぇ……状態どうなのかと思って全部確かめたけど折れてるんだもん、一つ残らず。
折れてるというよりも砕けてるってのもほとんどだし、どう考えてもあげても後に差し障りなさそう。
全部新しく作り直したって修理に出したって、この状態じゃ大して金額変わらないよ。

 「政宗様を含めた三千弱の人の命と六の爪、アンタはどっちが重い?」

 「……それは」

 悪いけど、ここで無駄に消耗したくはない。
この次の展開を考えれば、ここは最小限に押さえたいところだ。
これで政宗様がどうこう抜かしてきたら、重力でぺったんこにして私が伊達家を乗っ取ってやる。

 まだ納得出来ないといった小十郎を更にもう一度回し蹴りを食らわせて、渋々納得させて奥へと進む。
行き止まりに突き当たったところで、案の定、予想通りに嫌われ者の松永さんがスタンバイしていた。

 「やっぱりいたか、松永!」

 ゴキブリでも見るような目つきの小十郎をちらりと見て、松永は何処か小ばかにしたような笑いをする。
黙って立っていればなかなかカッコイイ、ナイスミドルなおじさまなんだけど……如何せん、キャラ設定が悪すぎる。
っていうか、本当に嫌いなんだね。小十郎ってば。

 「随分と珍しい者を連れているじゃないか、竜の右目」

 「……何?」

 松永はその目を小十郎から私に移して不敵な笑みを浮かべる。

 「時の流れを狂わせる、“外の世界”の人間と右目とはどういう関係なのかね」

 「……双子の兄弟だけど、アンタ何を知ってんの?」

 時の流れを狂わせる、外の世界……どれも引っ掛かる言葉だ。
だって、これってこの世界がゲームの世界であって、現実の世界じゃないって知ってるって解釈出来る。
そして私がこの世界の人間じゃないと知っている……都合のいい解釈じゃなくて、多分それで正解なんだと思う。

 「アレもまた、困ったことをする……決められた役割を果たせる演者ではなく、
世界の均衡を崩す者を招き入れるなど、本来ならば許されることではないのだよ。
六の爪を差し出して、簡単に通過されては困る。
この街道で私と出会った……この道筋もまた、意味があるとは思わないかね」

 この道筋もまた……?
松永とここで会って戦って、嘲りを受ける……それもまた、小十郎が進むべき
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