第三章
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「このままだと」
「そうですよね」
「東もソ連軍がすぐそこまで来ている」
ドイツ本土のだ。
「そしてこっちもだ」
「アルデンヌを抜けられたら」
「もう本土だ」
ドイツのだ。
「後はもう何もないぞ」
「ライン川があるだけで」
「本土は一気にだ」
それこそというのだ。
「突き進まれるぞ」
「守りになる山も森もないですからね」
「ドイツにはな」
南にはアルプスがある、だが東西から攻められればだ。ドイツには守りに使える自然のものが川以外殆ど何もないのだ。
「もうない」
「ですから」
「ここで負けたら本当に終わりだ」
「ドイツは」
「負けられない戦いだ」
ノボトニーは暗い顔で言った。
「何があってもな」
「そうですね、ですが」
「相手はアメリカだ」
「あの時はフランスでしたが」
「物量が半端じゃない」
フランスと違って、というのだ。
「倒しても倒してもどんどん来るしな」
「空からもですね」
「とんでもない数が来るからな」
「そうおいそれとは勝てないですね」
「ああ、けれどな」
それでもと言うのだった、再び。
「勝たないとな」
「そうですね」
「やるか、新型戦車もある」
「ケーニヒスティーゲルも」
「天気も悪い、敵が空から来るまでにな」
「ケリをつけますか」
「あの森でな」
アルデンヌの森でと言ってだ、そしてだった。
彼等を含めたドイツ軍の最後の精鋭達は新型兵器を使い連合軍に襲い掛かった、天候不順の隙をついてだった。
彼等は一気に攻めた、そうして。
連合軍を追い詰めていた、だが。
ノボトニーは森の中で戦車に乗ってだ、後ろの車両のバルトシュタットに言った。
「今はな」
「順調ですが」
「天気が何時までこのままか」
「それですね」
「アルデンヌは俺達の勝利への道だ」
パリで言った言葉をだ、彼はここで言った。
「しかしな」
「それが、ですね」
「負ければな」
それで、というのだ。
「それが変わるからな」
「勝利の道がですね」
「敗北の道になる」
こう言うのだった、戦車を進ませながら。
「逆になるんだ」
「負ければですね」
「ずっと邪魔な森だった」
突破する前のこともだ、ノボトニーは言った。
「そしてな」
「機械化部隊で突破してでしたね」
「勝利の道になったがな」
「ここで負ければ」
「また変わる」
障害から勝利の道になりだ、そしてというのだ。
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