第二章
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「我々の圧勝です」
「イギリスも慌てふためいて逃げたしな」
「そうですね、ダンケルクから」
「あの国だけになったな」
ドイツの敵はとだ、ノボトニーはワインをグラスで浴びる様に飲みつつ言った。
「じゃあ次はイギリス上陸だな」
「その時にまた出番ですね」
「まあ流石にな」
ここでだ、ノボトニーはこうも言った。
「ドーバーはな」
「海ですからね」
「空軍と海軍に頑張ってもらわないとな」
「我々の出番は来ないですね」
制空権と制海権がないと海峡は越えられないというのだ。流石に海を越えるにあたっては陸軍だけで出来るものではない。将校である彼等はこうしたことがわかるだけの教育を受けているのだ。
「じゃあそれまでは」
「俺達は休みだ、しかしな」
ノボトニーはバルトシュタットに言った。
「アルデンヌの森への考えが変わったな」
「はい、これまでは我々にとって障壁でした」
「あの森があるからな」
「我々はフランスを攻めるとなりますと」
この戦争どころか一次大戦、そしてそれ以前からのことである。ドイツ系国家がフランスと戦い攻めるならばだ。
「あの森が邪魔で」
「ベルギー、オランダかな」
「あのマジノ線の地域を進むしかありませんでした」
「それだけ進撃の道は限られていた」
「はい、しかしですね」
「もうあの森を越えられるんだ」
その忌まわしいアルデンヌをというのだ。
「あの森は忌まわしい障害じゃない」
「それどころか我々の勝利への道となったですね」
「栄光の森になったな」
「全くですね」
バルトシュタットもだ、笑顔で言ってだった。
彼もその上等のワインを楽しんだ、この時彼等は得意の絶頂にあった。ドイツ軍自体も。
しかし絶頂は続くとは限らない、それは彼等とて同じでだ。
イギリスとの戦いは膠着しソ連との東部戦線はあと一歩で雪に阻まれ。アメリカが参戦しその圧倒的な物量の前にだった。
ドイツは敗れていき遂にだった、ノルマンディーから上陸されて。
そのままドイツ本土に向かって進撃されていった、だが。
その中でヒトラーは乾坤一擲の勝負に出た、東西から来る連合軍に対して反撃に転じ攻勢に出ることにしたのだ。
その攻撃の場所に選ばれたのがアルデンヌだった、その森に向かって。
ドイツ軍は最後の予備戦力まで動員した、教導師団や親衛隊の精鋭までだ、
その教導師団の中にだ、軍功により大佐となっていたノボトニーと中佐になっていたバルトシュタットもいた、二人は。
今は陣地にいたがその陣地の中で難しい顔をしていた、まずはノボトニーが代用コーヒーを飲みつつバルトシュタットに言った。二人は今テントの中にいる。
「まただな」
「はい、またですね」
バルトシュタットは硬いパンを食べつつ応えた
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