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竜のもうひとつの瞳
第五十話
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……はい、軽くなりました」

 本当かどうか知らないけど、軽くなったんなら良かったよ。
腹が減っては戦が出来ぬ! って、言うじゃん。ま、回復アイテムだからいくらあっても困ることはないしね。
あ、でも日持ちはしないか〜……保存料とか入ってるわけじゃないし。
神水も婆娑羅ゲージを溜めるには丁度いい……あれ、そう言えば私って婆娑羅技ってあったっけ?
今更ながら急に不安になってきたぞ?

 ゲームなら丸ボタン押せば出てきたけど、流石に今はそういうわけでも……
っていうか、ここまで来て技らしい技がないじゃん。
よく考えてみたら重力でふわふわ浮かせてるくらいで、特に技がないんだけど……。

 「……私って、ひょっとしたら何気に弱い?」

 「姉上?」

 もしかして、力はくれてやるから後は自分で勝手に作れって奴だったりとか?
もしそうだったら、この三十年間私何もして来なかったってことになっちゃう?

 と、とりあえず、奥州戻って考えよう。そうしよう。今は悩んでる暇なんかないない。
うん、ないない。……ないことにしておこう。

 「何でもない、陣崩してこよう」

 今は考えないことにしてサクッと陣を落としてみる。
ここは陣が二箇所あって、二手に分かれて陣を崩しに行ったんだけど、
もう一方で小十郎が苦戦しているようだったから、そっちに回って陣を落とした。

 やっぱり動きが鈍いな。下手すると倒れるのも時間の問題かも。

 「小十郎、やっぱり休んでた方が」

 「いえ、お気遣いなく」

 ……うーん、最悪の場合は強制退場ってことで考えておこうかな。

 そんな小十郎を気遣いながら、奥へと走っていった。
多分この先にこのステージのボスが待ち構えていることを予想しながら。
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