第八章
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「人気があればな」
「それでいいんだ」
「その通りじゃ、本当にな」
「そうなんだね、何かね」
「何か?」
「僕最初お婆さん怖かったけれど」
このこともだ、ヴォルフガングはカテローゼに話した。
「それがね」
「こうして話しておるとじゃな」
「怖くないっていうか」
むしろだった、カテローゼに抱く印象は。
「楽しいよ」
「ほっほっほ、そうであろう」
「お婆さんのお店が繁盛してそのお客さんがこっちにも来るしね」
「それもいいことじゃな」
「魔女ってそうなんだね」
「魔女によるがな」
「楽しい人達なんだね」
カテローゼに笑顔で言った言葉だ。
「魔法を使って」
「そういうことじゃ、わかってもらえて何よりじゃ」
「お婆さんも嬉しいんだ」
「まことにのう」
こう笑顔で言いつつだ、カテローゼはチョコレートケーキも食べた。そのうえでヴォルフガングにこうも言ったのだった。
「この店のケーキはよいわ」
「コーヒーもだね」
「うむ、美味いわ」
「じゃあどんどん食べてね」
「コーヒーはいいがケーキはな」
そちらはとだ、カテローゼは笑って断った。
「これで充分じゃ」
「ケーキはいいの?」
「あまり多く食べたら歯によくない」
だからだというのだ。
「虫歯になるわ」
「えっ、虫歯?」
「そうじゃ、虫歯になればよくないからな、とはいっても」
ここでこうも言ったカテローゼだった。
「もう歯は少ないがのう」
「歯は大事にしないとなんだ」
「左様、確かにわしの歯は残り少なくなったがな」
「しっかりとだね」
「歯は守らないとな、だからコーヒーにも砂糖は入れておらん」
ブラックのまま飲んでいた、カテローゼは。
「歯と髪の毛には気をつけてな」
「髪の毛もだね」
「大人になって禿げたくないのならな」
「僕禿げないよ」
髪の毛の話になるとだ、ヴォルフガングは笑って否定した。
「ずっとあるよ」
「ならよいがな、しかし若し心配になったらな」
「その時はなんだ」
「何時でもわしのところに来るのじゃ」
「だから大丈夫だよ」
ヴォルフガングは笑ってこう返した、だが彼はこの時から二十年後だった。結婚して隠居した両親の跡を継いで店を継いですぐにだった。
隣で百歳を超えても店を雇った助手と共にやっているカテローゼに髪の毛のことで相談に言った。そして老魔女に笑顔で魔法の毛生え薬を貰ったのだった。
隣は魔女 完
2015・7・22
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