第十章〜奥州へ帰ろう〜
第四十九話
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シだろう。
「右目が二つ揃ってる今なら、誰が来ても負けない。政宗様を守りきれる。……でしょ?」
「……はい」
それでも表情は晴れない。不安そうな表情を残したままだ。
無理も無い、か……でも、あんまりこのままだと良くないな。
この調子でいけば、この先に当たる松永との戦いに響くような気がする。軍神との戦いでもだ。
こちらの兵は三千、これを出来ればなるべく減らさずにいきたい。
全員生かして帰す、というのは無理だということは分かっているけど。
ふわりと私達の目の前に風魔が現れる。
「どうしたの、風魔」
「『この先に兵が待ち構えている』」
その報告に、私は眉をひそめた。読唇術の心得がある小十郎もまた眉をひそめている。
「それは、とよ」
小十郎の口を咄嗟に塞いで、何処の兵かと訪ねた。
迂闊に豊臣とか言うな、ただでさえ怯えてるってのに音にして聞いたら収集付かなくなるっての。
それが豊臣の兵で無かったとしてもだ。
「『豊臣の軍勢ではない。……そちらの右目には縁の深い者が率いる軍だ』」
小十郎と縁が深い……ってことは、やっぱり松永か。
まぁ、ここは小十郎のストーリーで見た覚えがあるしね。
ストーリーは二回クリアしたから第一衣装と第二衣装の両方で見てます。あの冒頭のシーン。
「風魔、薬草を調達出来る? 三千人分は無理があると思うから、出来る限り。
最低でも政宗様と小十郎の分くらいは」
「『了解した』」
黒い羽を残して消えた風魔を見送って、私は一つ溜息を吐く。
一旦、ここらで立ち止まって手当てをしておいた方が良いかもしれない。
応急処置くらいは政宗様にしてるけど、他の連中はほとんどそのまんまだし。
小十郎だって特にこれと言って何かをしてるわけでもない。
「一度ここで止まって手当てをしよう」
「しかし、それでは」
「おそらく豊臣は追って来ないと思う」
根拠は無いんだけど、今の段階で豊臣が追って来てないってことは、少し落ち着いて手当てをしても大丈夫だと思うわけだ。
まぁ、追って来るって描写が無かったからっていうのもあるんだけどもさ、
多分、私達が何処に消えたのか豊臣側はまだ把握出来ていない。
いや、ひょっとしたら先の展開的にそれどころの状況じゃないのかもしれない。
「それに」
私は小十郎の腹を軽く叩いてやる。
きつく腹を押さえて膝を突きそうになった小十郎を支えてやり、また溜息を吐いた。
こんな状態で戦えるわけがない。きちんと処置をしないと、破傷風にでもなったら大変だ。
ま、小十郎は多分大丈夫なんだろうけどもさ、他の連中はモブだからそういうわけにもいかないだろうし。
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