第三章
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「これもまた楽しいことですじゃ」
「だといいですが」
「それなら」
「とにかくパーティーですな」
「はい、もう用意は出来ていますので」
「どうぞ」
「ではこちらもこれを」
ここでだ、老婆はヴォルフガングの一家に出した。それは。
ザッハトルテだった、それもかなり大きな。
その大きなザッハトルテを見てヴォルフガングも目を瞠った。彼の好物だからだ。
「こんな大きなザッハトルテはじめて見たよ」
「たんと食べるのじゃよ」
「まさかこれも」
「作ったのじゃ」
そうしたというのだ。
「わしがな」
「魔法で?」
「魔法ではないぞ」
それを使ってではなく、というのだ。
「ちゃんとお料理の技を使ったのじゃ」
「魔法と使わないんだ、魔女なのに」
「魔女でもいつも魔法を使うものではない」
そうだというのだ。
「お料理の時はお料理の技で作るわ」
「そうなんだ」
「そうじゃ、魔女でも何でもかんでも魔法は使わぬぞ」
「魔女でも」
「そういうことじゃ」
「ではこれから」
「パーティーを」
両親も言ってだ、そしてだった。
一家で魔女を招待するパーティーを催した。魔女は気さくで陽気な性格であり両親はすぐに彼女を気に入った。
ヴォルフガングもだ、その時に魔女と話した。魔女の名前はカテローゼ=ブランバッハといいウィーンの生まれだった。ウィーンで店を持っていたが娘に譲って自分はザルツブルグに二号店を開いてここに来たというのだ。
そのことも聞いてだ、ヴォルフガングはカテローゼにそのパーティーの場でジュースを飲みながら尋ねた。
「寂しくないの?」
「娘の家族と別れてか」
「お孫さんもウィーンだよね」
「そこに住んでおるぞ」
「それで寂しくないの?」
「それは寂しいさ」
カテローゼもこのことは否定しなかった。
「爺さんも死んだしわし一人じゃからな」
「お爺さん?」
「わしの旦那さんだった人じゃよ」
「お婆さんも結婚してたんだ」
「魔女も結婚するぞ」
カテローゼは笑ってヴォルフガングに答えた。
「しっかりとな」
「そうなんだ」
「五十年連れ添ってたがのう」
「今は一人なんだ」
「去年大往生したわ」
「それで今は」
「お墓の中じゃ」
その中で眠っているとだ、カテローゼはこのことは寂しく言った。
「まあ仕方ないわ、わしもすぐに行くわ」
「天国に」
「行けたらいいの」
カテローゼはここでは笑った、笑うとその皺がれた口の中の歯が見えるがその数はかなり減ってしまっている。
「そこでまた一緒じゃよ」
「お爺さんと」
「そうなりたいのう」
「そうなんだね」
「そうじゃよ、しかし死ぬまではな」
「生きるんだね」
「うむ、頑張ってな」
そうするとだ、ワインを飲みつつ
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