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隣は魔女
第一章
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                 隣は魔女
 オーストリアのザルツブルグはモーツァルトが生まれた街として知られ今も音楽祭が開かれている。オーストリアでも有名な音楽の街だ。
 ヴォルフガング=アイゼナッハはそのモーツァルトから名前を取られた。家は主に観光客を相手にした喫茶店であり代々この街に住んでいる。
 金髪碧眼のドイツ系特有の顔であり顔はやや丸い。小学校なのでまだまだ幼い顔立ちをしている。彼は家でも学校でも平和に暮らしていた。
 だがその平和な生活は一変した、隣の空家にだ。
 一人の老婆が入った、何とその老婆は。
 黒いやけに丈の長い服を着ていてだ、幅の広い三角帽を被っていて手には箒がある。
 曲がった長い鼻と皺だらけの顔、白い長い髪を持っているその老婆を見てだった。
 彼は家でだ、仰天して両親に言った。
「お父さんお母さん、お隣に来た人って」
「ええ、どう見てもな」
「魔女ね」
 両親もこう答えた。
「あの人はな」
「そうよね」
「お隣に魔女が来るなんて」
 困った顔での言葉だった。
「どうしたらいいかな」
「別にいいんじゃないか?」
「魔女がお隣でも」
「魔女狩りの時代でもないしな」
「悪いことなんてしないわよ」
 両親は至って平気だった、息子に何を言われても平気で家の仕事をしている。
「だから御前もな」
「気にしなくていいわよ」
「御前もな」
「気にすることないわよ」
「魔女でもなんだ」
 ヴォルフガングは困った顔で言った。
「それでも」
「だから魔女だからってな」
「悪いことしないわよ」
「そんな中世の異端審問みたいなこと言うな」
「今は二十一世紀よ」
「魔術が使えても何だ」
「それだけよ」
 魔法を使うだけだというのだ。
「むしろ面白いじゃないか」
「魔女がお隣さんなんて」
「今度お家に呼んでな」
「歓迎のパーティーをしましょう」
「えっ、魔女をお家に呼ぶの」
 両親の言葉にだ、ヴォルフガングは仰天して言った。
「そんなことするの?」
「そうだよ」
「今度ね」
「何でそんなことするの?」
 驚きを隠せない顔でだ、ヴォルフガングは両親に問うた。
「魔女をお家に入れるなんて」
「だから魔女といってもな」
「悪いことしないわよ」
「それどころか楽しいだろ」
「魔女がお隣に来てご近所になるのよ」
「何されるかわからないんだよ」
 あくまでだ、ヴォルフガングはこう言う。
「魔法で」
「だからその魔法がだ」
「面白いんじゃない」
「まあ御前もすぐにわかる」
「魔女は楽しい人達よ」
「そのこともな」
「お知り合いになればね」
 両親は不安で仕方ない息子にこう言うだけだった、そして実際にだ。
 ある夜にその魔女を家に案内した、服装はいつも
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