第一章
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った。
「何を考えている」
「ドクトルにはドクトルのお考えがあるのでは」
「一体どういう考えだ」
「それは」
そう問われるとだ、彼は返答に窮した。自分に答えがないからではなくトスカニーニの怒りに押されたからだ。
「やはりナチスにです」
「屈服したからか」
「そうではないかと思いますが」
「では何故ヒトラーの前でワーグナーやベートーベンを振るう」
「そのことですか」
「ゲッペルスとも和解したそうだな」
「ヒンデミット事件がありましたが」
ナチスがヒンデミットの作品の上演を妨害しフルトヴェングラーがそれに反対したのだ。それで彼は多くの役職を辞任することになった。
「しかしです」
「元の地位に戻ってだな」
「確かに今はです」
「ナチスに尻尾を振っているな」
「ですからそうではないのでは」
彼は口ごもり戸惑いながらも何とか自分の考えを述べた。
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