第四十八話
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くら豊臣が伊達を討って奥州を我が物にしたからと言って、すぐに纏めるのは難しいんじゃないのかしら。
ただでさえ、そっちは天下統一で忙しいのに、奥州の内乱に人手を割くのは寧ろ不利益でしょ?」
石田は少し何かを考えた後、私の言わんとすることを分かってくれたようだ。
つまりここは見逃して従属を迫れと遠回しに言ったわけだ。
まぁ……私の立場で言っちゃならない助言ではあるけども、命を獲られるよかずっといい。
政宗様の跡をきちんと引き継げる後継者がいない今、レッツパーリィな政宗様でもいてもらわないと困る。
……本当、馬鹿じゃなくて良かった。これでただの復讐馬鹿だったらどうしようかと思ったよ。
「……分かった。どちらにせよ、しばらく伊達は動けないだろう。
……半兵衛様も伊達の首を獲れとは仰られなかった。それを見越して言われたのかもしれん」
刀を鞘に納めた石田に、兵達が引く様子がない。小十郎も刀を納めないし、そんな様子のうちの兵共に向かって私は口を開いた。
「勝敗は決した!! おめぇら、刀を納めろ!!」
「で、でも、景継様!」
「この戦、伊達の負けだ。政宗様の手当てをしなければならないだろうが。
……生きてりゃ、チャンスはある。それにこの状況は命の賭け時じゃねぇ……今は退くぞ」
悔しそうな顔をするものの、皆刀を納めてくれた。小十郎もまた、反論出来ずに刀を納めている。
ここでこれ以上戦うのは無駄に命を散らすだけ……出来れば誰も欠けることなく奥州に戻りたいと思う政宗様も認めはしないだろうし。
石田はこの様子を見て、そのまま背を向けて立ち去ろうとする。そして、足を止めて一度振り返った。
「……半兵衛様からの言伝を忘れるところだった。“恩は返した”、この状況になったらそう伝えるようにと」
恩は返した……じゃあ、これもあの人の策略のうち? 私が止めに入ることも全て見越して。
どんだけなのよ、竹中半兵衛……。私はどれだけ竹中さんの掌で踊らされてるわけ……。こりゃ敵わないわ。はっきり言って。
「一度くらい、酒でも酌み交わしてゆっくり話がしたかった……そう、伝えておいて」
「……承知した」
きっと、この後の展開を考えてもそれは無いんだろうけど。
去っていく石田の背を見つめながら、そんなことを思った。
「帰ろう、小十郎。奥州に」
「……姉上、何故」
止めに入った、そう言いたそうな小十郎の鳩尾に刀で一撃入れて意識を奪う。
ここで押し問答を繰り返してる暇は無い。つか、小十郎を納得させるのも地味に面倒臭い。
まぁ、放っておいても頭のいいこの子のことだから、自分で答えには辿り着くんだろうけども……
このままぼんやりしてると小田原の兵達に追
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