妖精境の宝物
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ころで遅いのは、海東自身も百も承知であり。ならば、この局面で選ばれる必殺技は。
『FINAL ATTACK RIDE DIDIDIEND!』
「お痛が過ぎたようだね。さよならだ」
「――――」
ディエンドが放つ最大出力のビーム砲。それが零距離でキリトに放たれた。その音声と雰囲気から、直前で切り札だと察したキリトも、バリアにぶつける為だった攻撃を、突如そのビームへの防御に回す。
「う……おおおおっ!」
キリトの気合いの雄叫びとともに、ソードスキルはディエンドの切り札とぶつかり合うが、あまりにもその火力は違っていた。キリトは吹き飛ばされないことと、致命傷を避けるのが精一杯であり、防御はしているものの削りダメージだけでHPバーはレッドゾーンへと落ち込んでいく。
ディエンドの切り札の照射が終わったその時には、防御のしすぎで力を失ったキリトの右手からエクスキャリバーが落ち、キリト自身も力なく地面に倒れていた。それでも折れていない聖剣と、生きているキリトに海東は脱帽しながら、勝負はついたと嘆息する。
「まだ、だ……」
しかし海東は、大出力のビームの直撃を受けたにもかかわらず、近くに転がっていた《聖剣エクスキャリバー》を手で探し、反撃を試みているキリトを見る。興味のない聖剣を適当に蹴りつけて吹き飛ばし、倒れたキリトにディエンドライバーの銃口を向けるが――この世界は電脳世界だったことを思いだす。別に銃で頭を吹き飛ばそうが、世界を旅してきた海東自身と違って、本物の《キリト》には何のダメージもない。
――何とも羨ましい話だね、と海東は鼻で笑いながらキリトから目を離し、この世界のお宝である《Yui-MHCP001》を回収しようとすると――近くに横たわっていた筈の少女の姿が、ディエンドが捉える視界のどこにもいない。
どうも今の戦いに熱くなっているうちに、目が覚めて逃げられたらしい。お宝のことを忘れるなんて、と海東は自嘲しながらも、どうせ逃げられない場所に今はいる。ゆっくり探せばいいと考えた海東の胸部に、突如として斬撃のダメージが加えられた。
「なに……?」
海東がダメージを負った原因は二つ。所詮は電脳空間における仮想世界だと侮ったことと、お宝を《Yui-MHCP001という名前のプログラム》としか見なかったことだ。仮想世界だろうとそこに生きているんだ、とSAOで学んだキリトと、ユイという『人間』は、この状況だろうと決して逃げたりはしない。
――結果として。弾き飛ばされていたリズの剣を回収していたユイと、それを受け取っていたキリトの一撃をもろに受け、ディエンドは火花をあげながら後退した。
「っ…………」
とはいえ最後のあがき同然であり、キリトにはもうディエンドと戦って勝て
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