前編
3.賑やかな人たち
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って身構えたら、球磨は知らない内に顔マッカッカにしてくたばってやがる……お前、俺のコップの酒のんだだろ。俺口つけてないのに半分減ってるじゃねーか。
「飲んでないクマァ〜……そんなこと言うハルは張り倒ひてやるクマァ〜……」
もう好きにしろよ悪酔いしても知らんぞ……なんて球磨に注意を逸らしていたら、今さっき侵入してきた妖怪賑やか夜戦女は、知らない内におれの背後に回っていた。
「……ハッ?!」
気付いた時には遅かった。川内は俺の首にプロレスのチョークスリーパーを極め、容赦なく締め始めた。
「やーせーん!! ハルも! 早く夜戦しようよ!!」
「ぐおおお?!! ちょっと待て川内とやらっ!」
やばいかなりいい感じにクビが締めあげられている……
「あれぇえ〜こんなところに穴が2つ空いてるぞぉお〜?」
かと思えば今度は隼鷹が俺の鼻の穴に興味津々だ。一升瓶を見ると中身が四分の一まで減っている。いつの間にこいつはこんなに酒を飲んでいたんだっ
「いやぁ〜知らない間に減ったんだよね〜ひゃっひゃっひゃっ。とりあえずそこの穴に裂きイカでも突っ込んどくよあたしは〜」
今一焦点の定まらない目でケラケラ笑いながら、隼鷹は俺の鼻に裂きイカを突っ込んでくる。こら隼鷹。裂きイカはそんなところに突っ込むためのものじゃないっ。
「いいから夜戦! ハル!! 夜戦いくよ!!」
川内は川内でスリーパーホールドをがっちり決めたまま俺の頭を上下左右に振り回す。やめろ川内! 気持ち悪くなってくる……助けろ球磨!
「無理だね〜。球磨姉そこでぴくぴくしてるし」
「ク……クマ……」
「いやいやだったらお前が助けてくれよ北上ッ」
「災難だったね〜。まぁ運がなかったと思ってあきらめたら?」
「んな理不尽なッ!!」
川内には首をしめられ隼鷹には鼻に裂きイカを突っ込まれ……なんだこの地獄絵図は……ココに来たことを少し後悔し始めた俺の前に、唐突に目の据わった球磨が立ちはだかった。
「クマっ」
「ん?」
「どしたの球磨姉?」
「早く夜戦ッ!!」
球磨は俺をジッと見つめると、酒のせいだろうか……赤いほっぺたのまま……
「くまぁ♪」
「……?!」
すさまじい破壊力のはにかんだ笑顔を見せてくれた。
「? 球磨姉?」
「くまくまぁ♪」
白状する。この瞬間、俺はちょっとドキッとした。
そしてその直後……
「くまっ」
「がぶぅッ?!」
左右から球磨の張り手が飛んできて、その張り手に挟まれた俺の顔は、逃げ場のない衝撃で脳を揺さぶられ、意識が遠のいていった。
「アッハッハッ。ハルが沈んでいくよぉお〜」
「沈む前に夜戦!」
「災難だねぇハル」
「くまぁ」
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