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鎮守府の床屋
前編
3.賑やかな人たち
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きゅっ」
「どうせタダだしね〜」

 牛乳もいいが、風呂あがりにラムネってのがまたオツだね。……しかしあれだな。球磨のアホ毛は風呂あがりなのにもう立ってるんだな……

「ハルが投げたせっけんね……球磨姉のアホ毛に刺さったんだよ」
「マジか……」

 どんだけ頑丈な作りをしてるんだあのアホ毛は……あのせっけんまだ全然固かったぞ?

「球磨のアホ毛を舐めてもらっちゃ困るクマ」
「舐めるどころか恐怖しか感じねえよ……」

 その後は球磨たちと別れ、波音を聞きながら夜風で涼みつつ、自分の店に戻る。テナントはちょうど店兼俺の居住地となっており、ちょうどテナントの奥の方には俺の居住スペースがあるのだ。

「ふい〜。おつかれさ〜ん……」

 明日の準備ももう終わってるし飯と風呂も済ませた。時間も遅いし、あとはもう寝るだけだな……なんて考えていたら、カギを締め忘れたドアが開き、唐突に賑やかな声が店内に響いた。

「ヒャッハァァアアアアアア!!!」
「?! 何事ッ?!!」

 急いで店の入り口に向かうと、日本酒の一升瓶を携えた中々にツンツンした髪型の女と、さっき別れたばかりの球磨と北上が仁王立ちをしていた。

「ハルー! 出てくるクマぁあああ!!」
「開店祝いだヒャッハァアアアアアア!!」
「ごめんね〜。どうしてもハルのとこに行くって聞かなくてさ〜」
「それはいいんだけど……この淑女はどなた?」
「軽空母の隼鷹でーす! 床屋が出来たって聞いたから開店祝いに酒飲みに来たよぉぉおお!!」

 そう言いながら、このツンツン飲兵衛女……隼鷹は日本酒の一升瓶を高々と掲げていた……なぁ、艦娘ってこんなにエキセントリックなヤツばっかなの?

「黙れクマッ!!」

 さすがにそう何度も頭をひっぱたかれるわけには行かない。球磨の張り手を寸前のところで避けた俺は、その崩れた体勢を立て直し、空振りしたせいでバランスを崩した球磨の手を取ってやった。

「うん。まぁ……ねぇ。うちの球磨姉を筆頭に……ね」
「アンタがハルかぁ〜。提督やビス子に聞くところによると腕は確かみたいじゃーん。次はあたしも髪を切ってもらうよぉ〜」

 あれ? ひょっとしてすでに酔ってる?

「ありがたい話だよ。んじゃ出撃がないときの昼にまた来てくれ」
「もちろん! そして今日は、その前哨戦といこうぜハル!!」
「前哨戦だクマァアアア!!」

 そういって肩を組み、一升瓶を高々と掲げる二人。よく見たら一升瓶の中の酒はすでに半分ほどなくなってる。

「……なあ北上」
「ん?」
「こいつらすでに飲んでるだろ? 強いの?」
「隼鷹は強いけど、球磨姉は弱いよ?」
「そうなの? どれぐらい飲んでるんだよこれ?」
「球磨姉はおちょこ一杯だねぇ
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