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竜のもうひとつの瞳
第四十七話
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屈んでしっかりと目を見て

 「どういうことだか、説明してごらん?」

 と、優しく言ってあげれば、小十郎が酷く怯えた顔をしていた。

 育ての親であったあの姉は常に怖い。それとは打って変わって私は優しい。けど、怒らせるとかなり怖い。

 小十郎の認識はこうだから、明らかに怒っている私に怯えないはずがない。
ちなみに本気でキレた時の私は、小十郎の極殺よりも恐いと誰かが評価してくれたことがあります。
うっかり小十郎がそれに同意して、話していた連中と二人して葱で百叩きにしてやったのも良い思い出かなぁ。
二人揃って私に涙目で頭を下げて謝っていたのは……うむ、竜の右目形無しでした。
いやいや、今はそれよりもだ。

 「……夕に惚れてからしばらく経って、気付いたのです。
夕に対して求めるものと、姉上に対して求めているものが全く違うと。
……夕には、その……男としての欲求を求めたくなるのですが……姉上には、そういう感情が……全く……」

 どんどん尻すぼみになっていく小十郎に、正直苛立ちを覚えている。
この野郎……私の気も知らないで、んなこと抜かしやがって……。

 「じゃあ、何? シスコンを恋愛感情だって思い込んでたってわけ?」

 「しす?」

 「お姉ちゃんが過剰に大好きで大好きで堪らない弟を指して言うんだよ、この馬鹿弟が!!」

 ギリギリと頭を締め上げてやれば、必死に私の手を離そうと小十郎がもがいている。
無理だよ、婆娑羅の力と併用して締めてるからねぇ〜。アンタの馬鹿力でもそう簡単に剥がれないよぉ〜?

 「も、申し訳ございませ……いっ……いたたたた!!」

 「アンタどれだけ私が悩んだか分かってんの?
失恋して小十郎が泣いてるんじゃないのかとか、忘れようとして倒れるくらいまで無理して仕事したりしてるんじゃないのかとか、
政宗様の相手もしなきゃならないから円形脱毛症になったらどうしようとか、
最近生え際が少しずつ後退してきたような気がするし、父上も晩年地味に薄かったからいよいよヤバいんじゃないのかとか」

 「生え際はまだ平気っ……痛っ!! すっ、全て小十郎が悪いのです!! ですから、どうかっ……姉上、お許し下さいっ!!」

 あんまり苛めても可哀想なので手を退けてやれば、小十郎は涙目になって頭を抱えている。
周りもこれにはフォロー出来ずに引いてるし、っていうか小十郎が私に惚れてたって話は筒抜けなわけ?
驚いた様子の人が誰もいないんだけど。

 大丈夫よ、小十郎。脳みそ出ない程度には抑えてやってるから。多分骨にも異常はないと思うけどもねー。
相変わらず頭を押さえて泣く寸前って顔の小十郎に、そう思ってやった。

 「……気は済んだか」

 「ええ、もう。帰ったら尻叩き
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