第四十七話
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「小十郎、もう祝言挙げちゃった?」
「いいえ、まだ挙げてはおりませぬ」
自信を持ってそう答える小十郎の頭を、私は思いきり平手打ちをしてやった。
「ちょっ……何やってんのよ。とっとと挙げてさっさと子作りしろっての!
一年も婚約者ほったらかしにして、何考えてんの!?」
本当、何を考えてるんだか。
夕ちゃんがいくら良い子だからって、ずっとほったらかしにして何を考えてんだか。
全く、待ってる方の身にもなってあげなさいよ。本当、こういうところ私に似て鈍いんだから。
「し、しかし……政宗様が身も固めておらぬうちに、小十郎が先に祝言を挙げるなどと……」
そんなことを抜かす小十郎に思いきり回し蹴りを食らわせて深く拳骨を叩き込んでやれば、
小十郎はそのまま地面に倒れ伏して悶えている。周りで見ていた人間の顔が引き攣っているけど、そんなことは気にしない。
「この大馬鹿たれ!! 政宗様と一体いくつ差があると思ってんの!?
十よ、十! 政宗様が祝言挙げるの待ってたら爺さんになるでしょうが!!
大体高齢になってからの出産ってのは大変なのよ!?
夕ちゃんの為にもさっさと祝言挙げて子供産ませなさい!!」
「で、ですが……」
「口答えしない!!」
「は、はい」
末っ子の悲しい運命、上には絶対に逆らえない。
まぁ、姉が一番だけど、二番手は私だもんね。きっちり正座して説教を受けてる姿は、竜の右目からは程遠い姿なわけだ。
でもまぁ、こんな光景は日常茶飯事だから、周りもやっといつもの光景が戻って来たとほっとした顔をして見てるのが複雑な心境って奴なのね。
これじゃ、どっちが本当の竜の右目か分からないじゃないのよ。
「おいおい、そう言ってやんな。小十郎もお前に晴れ姿を見て欲しかったわけなんだからよ。
ずっとお前が母親の代わりやってたんだろ? 小十郎がうっかりお前に惚れたと勘違いするくらいに可愛がってたわけだし」
「そりゃ、まぁ……姉上があんなんだから、その分は……は? 勘違い?」
政宗様が一体何を言っているのかと思って小十郎を見れば、酷くばつの悪そうな顔をして見せている。
これはきちんと話を聞かなければならないと、眉を上げて小十郎を見る。
小十郎は首を竦ませて、非常に話し難いといった様子で恐る恐る口を開いた。
「……夕に惚れてみて、分かったことがございます。……小十郎は、姉上に恋情を持っていたわけではございませんでした」
……ちょっと待て、何だその急展開。序盤で腹切るとか言って泣いたのは何処の誰だ。
だったらあの流れは何だったんだっての。丸っきり無意味なやり取りじゃん。
小十郎の頭をしっかりと掴んで、顔を逸らせないように固定しておく。
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