第二十話 王子の願い
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すよ」
「金が欲しかったら、僕の所へ来ないか? 働き次第では、懐も温まるし指名手配も消してやろう」
「ははは……止めておきましょう。実の所『こちら側』の水が合ってましてね」
「それは残念」
承諾しない事を予想していたのか、マクシミリアンはあっさり引っ込んだ。
「さ、おしゃべりはここまで。……おい、お前ら連れて行け」
マクシミリアンはジャコブを含めた取り巻き達に連れられて行かれた。
「……あ、そうそう」
途中、四方を囲まれたマクシミリアンは何かを思い出したように言葉を発した。
「何かしましたか? 殿下」
「名前を聞いてなかった。なんていうんだい?」
「ジャコブと申します。巷では風穴のジャコブと云われていますよ」
「なるほど覚えておくよ。……最後にもう一つ」
「注文が多いですな」
「実は朝から何も食べてないんだよね。何か食べさせてよ」
「……分かりました。おい、お前、厨房にひとっ走りして、何か持ってこさせろ」
ジャコブはそう言って、ヤクザ者数人を走らせた。
☆ ☆ ☆
マクシミリアンを見送るしかなかったクーペとフランシーヌは、一度、屋敷から撤退する事を決めた。
屋敷から脱出した二人は、途中、密偵団員5人を合流、その内2人を屋敷の監視用に残し街中に消えていった。
「あの、えっと、ミスタ……で良かったのかしら? ミスタ・クーペ?」
「ええ、結構でございますよ、ミス・フランドール」
傍から見れば貴族の令嬢とお付のメイドの関係だった。
「それで、ミスタ・クーペ。これからどうするのですか?」
「まずは市内の暴動を鎮圧しましょう。その際に力を借りたい人たちが居まして、これからその人たちの所へ向かいます。上手くすれば殿下救出にも力を貸してくれるかもしれません」
「その人たちって、どの様な人たちのですか?」
「ミス・フランドールも、よくご存知でしょう。マダム・ド・ブランの皆さんですよ」
「マダム・ド・ブラン……ですか? たしか最近急成長した所と聞いていましたが……」
「まあ、詳しい話は道すがら説明しましょう」
密偵団員を含めた5人は騒然とする街中を進んだ。
……しばらく街中を行くと、フランシーヌはモクモクと空へと昇る黒煙を見た。
「煙? 火事かしら?」
フランシーヌは黒煙の昇る方向を指差した。
「あらら、あの方向はひょっとしたら……」
「なにか心当たりでも?」
「ええ、あの方向はアルデベルテ商会の方向ですよ」
「ええっ!? 一体何が……
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