第二十話 王子の願い
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の幸運を胸に、今までのような貴族らしい貴族ではなく、別の……まったく新しい貴族を目指すようにして欲しい」
「新しい貴族とは何なのでしょうか?」
「新しい貴族とは……そうだね」
マクシミリアンは少し考えて……
「僕の考える新しい貴族、それは『ノブレス・オブリージュ』……高貴さは義務を強制する。権力の上に胡坐を掻かず、社会的地位に見合った行動もしくは責任を自分自身に課す……と、言った所かな」
「???」
ミシェルは理解できていないようだった。
「そうだね……要するに、貴族に生まれたからには、貴族であるからには、グータラな生活は許されない……って所かな」
少し違うかな?……と、思いつつもミシェルに説明した。
「たくさん勉強すれば、いいのかしら」
「そうだね、それと社会奉仕とかもね」
とりあえずミシェルに言い聞かせる。
「ミシェルだけじゃない! ここに居るみんなに、もう一度聞いて欲しい!」
人質の貴族に向かって声を上げた。
(昨日はろくに取り合って貰えなかったが……)
マクシミリアンは人質の貴族たちにもノブレス・オブリージュを説いたが、今回の貴族たちの反応はまちまちだった。
(昨日よりは上々の反応だったが……)
マクシミリアンは心を静める。
(もし……これで変われなかったら。残念だが……もう駄目だ)
粛清リスト入りである。
マクシミリアンは、貴族たちがトリステインに有用な人材に成れるのであればチャンスを与えたかった。
可哀想だから……と、いう意味ではなく。
(貴族ぐらいしかキチンとした教育を受けていないからな)
という理由があった。
現在、ちゃんとした教育を受けているのは貴族ぐらいで、平民にいたっては奇特な領主が読み書き程度の教育を施すぐらいだ。
将来的に平民に教育を施す様に改革しても人材として使い物になるのは、例外を除いては数年、十数年先だと睨んでいた。
トリステインは永い不況からようやく脱する事ができた。だが、もっと高く、もっと先へ行くには、もっともっと人材が必要だ。
(変われるなら変わって欲しい……)
マクシミリアンの願いが彼らに届くかは神のみぞ知る。
この光景を見ていたジャコブは長い鼻を揺らしながら寄って来た。
「見事な演説でしたな、殿下」
「……フン。そう思うんだったら、名演説に免じて僕も開放して欲しいものだね」
「それは聞けませんね。開放なんかしたら、それこそマヌケだ」
「そんな、マヌケじゃない貴方が、何故こんな失敗すると分かっている蜂起に手を貸したんだ?」
「別にどうもしませんよ。分け前が良かった。……それだけで
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