機動戦艦ナデシコ
1255話
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「では、今日はこちらでお休み下さい。その、申し訳ありませんが、くれぐれもこの部屋から出ないようにお願いします」
プロスペクターが申し訳なさそうにそう告げ、ゴートはムッツリとしたまま特に表情を動かす様子もない。
「いつまでここにいればいいんだ?」
案内された部屋を見回す。
特にこれといった特徴のない部屋。
ベッドやお湯を沸かす程度の簡単な台所、トイレ、シャワーといったものがあり、基本的にこの部屋だけである程度の生活は出来るようになっている。
退屈しのぎの為か、TVもきちんと設置されていた。
別にこれは俺の部屋という訳ではなく、ゲストルーム……と言えば聞こえはいいが、あまり艦の中を出歩いて欲しくない相手用の部屋なんだろう。
にしても、ナデシコという名前なんだし日系企業なんだから、シャワーじゃなくて風呂くらいはあってもいいと思うんだけど。
それとも銭湯みたいに艦内に大きな風呂でもあるのか?
……アークエンジェルといい、ナデシコといい、風呂が好きな戦艦が多いな。
いや、それに乗っている俺が言う事じゃないんだろうけど。
「そうですね。正確には言えませんが、出来るだけ早くどうにかしたいと思っています」
「……言っておくが、ミロンガ改には誰かが触ればすぐ分かるようになっている。それを理解した上での行動だろうな? もし俺の機体に何か手を出したりしたら……」
ニヤリ、とした笑顔を、殺気と共に放つ。
そこまで全力の殺気という訳でもなかったのだが、この世界の住人にとってはそうでもなかったらしい。
仏頂面だったゴートの表情が強張り、プロスペクターの額にも汗が浮かぶのが分かる。
「分かったな? くれぐれも俺の機体に妙な真似はしないようにしろよ」
「わ、分かりました。はい。アクセルさんの機体には決して触ったりしませんので」
慌てて告げてくるプロスペクターに頷き、殺気を引っ込める。
取りあえずこれだけ脅しておけば、ミロンガ改に妙な真似はしないだろう。
一応ミロンガ改はシャドウミラーの中でもそれなりに機密度の高い機体なのは間違いなく、技術班の手でその手の機密を守る為の措置はしっかりと設置されている。
もし妙な真似をしたら……さて、どうするか。
自分でも分かる程の笑みを口元に浮かべる。
「じゃあ、その言葉を取りあえず信じさせて貰おう」
「はい、すぐに社の方に連絡してアクセルさんへの対応を考えさせて貰いますから。取りあえず今日は……」
プロスペクターの言いたい事を理解し、頷く。
ここまで脅したんだから、その上で妙な真似をしてくるというのであれば、それは俺に対する全面的な敵対と考えてもいい。
その時は……残念だが、このナデシコという艦は沈むことになる、か。
も
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